交通事故を防ぐ第一歩は、どんな事故が多く、どんな事故が重い結果につながりやすいのかを知ることです。実は「件数の多い事故」と「死亡につながりやすい事故」は、同じではありません。ここでは事故類型の見方と、事故を起こしたときに加わる点数(基礎点数と付加点数)の基本を、令和7年(2025年)の統計をもとに整理します。本記事は特定の実在事故ではなく、統計に基づく一般的な解説です。
① 「事故類型」とは
交通事故の「類型」には、大きく2つの見方があります。ひとつは、当事者の組み合わせによる正式な分類で、「人対車両」「車両相互」「車両単独」「列車」の4つに大きく分けられます(交通事故総合分析センターの用語解説)。もうひとつは、白書などで件数を示すときに使われる、追突・出会い頭といった「事故の起こり方」に着目した区分です。
後者は前者を再集計したもので、たとえば「工作物衝突・路外逸脱」は車両単独の事故にあたります。件数の区分は正式な分類そのものではなく、起こり方でまとめ直した見方だという点を押さえておくと、統計を読むときに混乱しません。
ポイント:「分類」を語るときと「件数」を語るときで拠りどころが違います。件数でよく見る区分は、正式な分類を再集計したものです。
② 多い事故と、死ぬ事故は違う
内閣府『令和8年版交通安全白書』によると、令和7年(2025年)中に起きた交通事故のうち、最も多い類型は追突で、全事故の28.0%を占めます。しかし死亡事故に限ると、追突は5.6%(7位)まで下がります。逆に、単独の工作物衝突・路外逸脱は全事故の1.5%にすぎませんが、死亡事故では23.7%を占め、類型のなかで最も多くなります。
| 事故類型 | 全事故に占める割合 | 死亡事故に占める割合 |
|---|---|---|
| 追突 | 28.0%(1位) | 5.6%(7位) |
| 出会い頭 | 26.0%(2位) | 11.7% |
| 歩行者横断中 | 7.7% | 22.0%(2位) |
| 正面衝突 | 2.3% | 9.1% |
| 工作物衝突・路外逸脱(単独) | 1.5% | 23.7%(1位) |
※ 内閣府『令和8年版交通安全白書』(令和7年中の数値)による。割合は事故類型別の構成比。
このずれは、事故が起きたときの速度や衝突の状況によって、結果の重さが大きく変わるためと考えられます。件数の多い追突は比較的低速で起きやすい一方、単独事故や正面衝突は速度の出た状態で起きたものが含まれやすいといった違いが背景にあります。「よくある事故だから軽い」とは限らない、という視点が大切です。
③ 事故のときに加わる点数の基本
交通事故を起こすと、原因となった違反そのものの点数(基礎点数)に加えて、事故の結果に応じた点数(付加点数)が加算されます。付加点数は、「事故の程度」(人の死亡、けがの治療に要する期間、建造物の損壊)と、「責任の程度」(専らその人の不注意によるものか、それ以外か)の2つで決まります。
| 事故の程度 | 専ら本人の不注意による場合 | その他の場合 |
|---|---|---|
| 人の死亡に係る事故 | 20点 | 13点 |
| 治療期間3月以上または後遺障害あり | 13点 | 9点 |
| 治療期間30日以上3月未満 | 9点 | 6点 |
| 治療期間15日以上30日未満 | 6点 | 4点 |
| 治療期間15日未満または建造物損壊 | 3点 | 2点 |
※ 警視庁『交通事故の付加点数』による。
人身事故では、基礎点数だけでは済まず、けがの程度によっては一度の事故で免許の停止や取消しに至る点数になることもあります。事故類型ごとに問われやすい違反と基礎点数は、それぞれの解説記事で扱います。
ポイント:重い結果につながった事故ほど付加点数は大きくなります。点数は、安全運転をうながすための仕組みのひとつです。
④ 事故類型ごとの解説
事故の起こり方ごとに、原因と防ぎ方、問われやすい違反と点数を解説しています。件数が最も多い追突事故、交差点で起きやすい出会い頭事故、右折時の右直事故、左折時の巻き込み事故、そして死亡につながりやすい歩行者横断中の事故・正面衝突・単独事故まで、順にご覧いただけます。これで、白書が示す主要な事故類型を一通りカバーしています。
このほか、時間帯や年齢などのテーマ別に、薄暮・夜間の歩行者事故、高齢ドライバーの事故、自転車と歩行者の事故も取り上げています。
走行予定のエリアで事故や取り締まりが起きやすい場所を事前に知っておくことも、「気をつけよう」という意識づけに役立ちます。
見かけた取り締まりを共有して、みんなの注意喚起に。
よくある質問
令和7年(2025年)の統計では追突が最も多く、全事故の28.0%を占めます。ただし死亡事故に限ると割合は下がり、5.6%(7位)です。件数の多さと死亡につながりやすさは一致しません。
工作物衝突・路外逸脱(単独事故)や歩行者横断中などです。件数は少なくても、死亡事故に占める割合が高いのが特徴です。速度や衝突の条件が重大な結果につながりやすいためと考えられます。
正式には人対車両・車両相互・車両単独・列車の4つに大きく分ける方法があります(交通事故総合分析センターの用語解説)。一方、白書などで件数を示すときは、追突・出会い頭などに再集計した区分が使われます。分類の話と件数の話で拠りどころが異なる点に注意が必要です。
いいえ。特定の実在事故ではなく、統計に基づく事故類型の一般的・教育的な解説です。注意喚起を目的とした一般情報です。
本記事は安全運転の注意喚起を目的とした一般的な情報提供です。取り締まりの回避を勧めるものではありません。最新かつ正確な情報は、警察庁・各都道府県警察などの公式情報をご確認ください。