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免許の自主返納とは?返納できない場合と運転経歴証明書の申請期限を条文で確認

運転免許の「自主返納」は、道路交通法では本人の申請による免許の取消し(104条の4)です。誰がどこへ申請でき、どんなときに返納が認められないのか、返納したあとに受けられる運転経歴証明書は誰がいつまでに申請できるのかを、道路交通法と同法施行令・施行規則の原文と警察庁の案内で確認します。

取り締まりマップ編集部安全運転支援チーム
公開:2026.10.24更新:2026.11.01約11分で読めます

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「返納後も5年以内なら」「運転経歴証明書を申請」の文字と、赤い丸の「返納」の印を押した運転免許証を描いた、マスコットのトラくんを添えたイラスト

運転に不安を感じるようになった、車を手放して運転しなくなった――。そのときに選べるのが運転免許の「自主返納」です。自主返納は通称で、道路交通法では本人の申請による免許の取消しとして定められています。誰がどこへ申請でき、どんなときに返納が認められず、返納したあとに何を受け取れるのかを、道路交通法と同法施行令・施行規則の原文で確認します。

自主返納は「申請による免許の取消し」

道路交通法104条の4第1項は、免許を受けた人は住所地を管轄する公安委員会に免許の取消しを申請することができると定めています。申請を受けた公安委員会は、政令の定めに従って、その免許を取り消します(同条2項)。

条文は申請できる人を「免許を受けた者」としていて、年齢の要件はありません。警察庁「運転免許証の自主返納について」も、対象を「運転免許が不要になった方や、加齢に伴う身体機能の低下等のため運転に不安を感じるようになった高齢ドライバーの方」と案内しています。

手続きは施行規則30条の7が定めています。

  • 施行規則の様式(別記様式第十九の三の七)の申請書を提出する(1項)。
  • 免許証を提示する。免許の情報が記録されたマイナンバーカードを持っている場合はそのカードを提示し、両方を持っている場合は両方を提示する(2項)。
  • 免許を取り消した公安委員会は、本人に通知書で通知する(5項)。

申請の場所や受付時間、必要な書類の細目は都道府県で異なり、警察庁は各都道府県警察の運転免許センター等に問い合わせるよう案内しています。

ポイント:自主返納は、免許を受けた人が自分から申請して、住所地の公安委員会に免許を取り消してもらう手続きです。条文に年齢の要件はありません。

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自主返納が認められない場合

申請があっても、次のどれかに当たる人の免許は取り消されません(施行令39条の2の4)。

返納が認められない人根拠
違反・事故・病気などによる免許の取消しの基準や要件に該当している人施行令39条の2の4第2号
免許の効力が停止されている人、停止の基準に該当している人同条3号
返納を申請した免許について、再試験の基準に該当している初心運転者(再試験に合格した人などを除く)同条4号
返納を申請した免許について、若年運転者講習の基準に該当している人(講習を終了した人を除く)、特例取得免許の取消しの基準に該当している人同条5号
上位の免許を受けたまま、それに対応する下位の種類の免許だけの取消しを申請した人同条1号

警察庁も、「運転免許の停止・取消しの行政処分中の方や、停止・取消処分の基準等に該当する方等は、自主返納することができません」と案内しています。

一部の種類だけを返納する(一部取消し)

自主返納は、すべての免許を返すだけではありません。取消しを申請するときに、取り消された場合には他の種類の免許を受けたいと併せて申し出ることができます(道路交通法104条の4第1項後段)。たとえば大型免許を返して、普通免許で運転できる範囲だけを残すような使い方です。

受け直せる免許の種類は、返す免許の種類ごとに施行令39条の2の3の表で決まっています。主なものは次のとおりです。

返す免許受け直せる免許
大型免許中型・準中型・普通・小型特殊・原付の各免許
中型免許準中型・普通・小型特殊・原付の各免許
準中型免許普通・小型特殊・原付の各免許
普通免許小型特殊・原付の各免許
大型二輪免許普通二輪・小型特殊・原付の各免許
普通二輪免許小型特殊・原付の各免許
普通第二種免許普通・小型特殊・原付の各免許

※ 施行令39条の2の3の表には、このほか大型特殊免許・大型第二種免許・中型第二種免許・大型特殊第二種免許・牽引第二種免許の行があります。

公安委員会は、免許証の返納(マイナンバーカードに記録している場合は免許情報の抹消)を受けたうえで、申し出た種類の免許を与えることができます(104条の4第3項)。こうして受け直した免許は、取り消された免許を受けた日に受けたものとみなされます(同条4項)。申請書には受けたい免許の種類を書き、原則として写真を添えます(施行規則30条の7第3項・4項)。

警察庁は、中型(8トン限定)免許や第二種免許を受けている人がサポートカー限定免許の条件を付けたいときも、一部取消しで普通免許を受けたうえで申請できると案内しています(サポートカー限定免許)。

運転経歴証明書を受けられる人と期限

運転経歴証明書は、取消し・失効の日の前5年間の自動車等の運転の経歴を、優良運転者・一般運転者・違反運転者等の区分に準じた区分で表示する書面です(道路交通法105条の2第1項)。申請先は住所地を管轄する公安委員会です。

項目内容根拠
申請できる人自主返納で免許を取り消された人/更新を受けずに免許が失効した人道路交通法105条の2第1項
対象外の人一部取消しでほかの種類の免許を受けた人/失効の前日に取消し・停止の基準に該当していた人など同項の括弧書き・施行令39条の2の5
申請の期限取消し・失効の日から5年以内に申請し、現に受けている免許がないこと施行令39条の2の6第1項
記載事項番号・取消しや失効の時に受けていた免許の年月日と種類・交付年月日・住所・氏名・生年月日・前5年間の運転経歴(写真も表示)施行規則30条の9第1項・3項
マイナンバーカードへの記録運転経歴証明書の代わりに、または併せて、運転経歴情報をマイナンバーカードに記録するよう申請できる道路交通法105条の2第3項・施行規則30条の8第1項

申請は都道府県公安委員会規則で定める申請書で行い、原則として写真を添えます(施行規則30条の8第1項・2項)。自主返納と同じ日に申請する場合は、住民票の写しなどの住所・氏名・生年月日を確かめる書類の提示は要りません(同条3項ただし書。外国人を除く)。

運転経歴証明書は、免許証と紛らわしい外観であってはならないと定められています(道路交通法105条の2第2項)。警察庁は、平成24年(2012年)4月1日以降に交付された運転経歴証明書は、運転免許証に代わる公的な本人確認書類として利用できると案内しています。

運転経歴証明書を受けたあとで改めて免許を受けたときは、運転経歴証明書を返納しなければなりません(施行規則30条の12第1項1号)。住所・氏名が変わったときは届け出て記載を受け(施行規則30条の10第1項)、なくしたときなどは再交付を申請できます(施行規則30条の11第1項)。

よくある誤解

「違反で処分されそうなら、先に返納すればよい」わけではありません。 取消し・停止の基準に該当している人や、免許の停止中の人は、申請しても免許は取り消されません(施行令39条の2の4第2号・3号)。違反などによる処分の手続きは意見の聴取で解説しています。

「運転経歴証明書は自主返納した人だけ」ではありません。 道路交通法105条の2第1項は、更新を受けずに免許が失効した人も申請できる人に挙げています。ただし、失効の前日に取消し・停止の基準に該当していた人などは除かれます(施行令39条の2の5)。失効した免許の取り直しはうっかり失効で解説しています。

「運転経歴証明書はいつでも申請できる」わけではありません。 申請できるのは取消し・失効の日から5年以内で、現に受けている免許がない人に限られます(施行令39条の2の6第1項)。警察庁も、自主返納後・失効後5年以上が経過した人や、交通違反等により免許取消しとなった人は交付を受けられないと案内しています。

「自主返納は高齢者の制度」ではありません。 条文に年齢の要件は無く、免許を受けている人なら申請できます(道路交通法104条の4第1項)。

令和7年の自主返納と運転経歴証明書の件数

警察庁「運転免許の申請取消(自主返納)件数と運転経歴証明書交付件数の推移」によると、令和7年(2025年)の件数は次のとおりです。

項目令和7年うち75歳以上
申請取消(自主返納)件数435,067件260,915件
運転経歴証明書交付件数297,359件173,744件

※ 申請取消の件数は全部取消しの件数。運転経歴証明書の交付件数はマイナンバーカードへの運転経歴情報の記録件数を含む。

同じ資料で平成28年(2016年)からの推移を見ると、自主返納の件数は令和元年(2019年)の601,022件が最も多く、その後は令和5年(2023年)の382,957件まで減り、令和6年(2024年)は427,914件でした。運転免許統計の数字との関係は運転免許統計(令和7年版)で解説しています。

返納についての考え(内閣府の国民アンケート)

内閣府「道路交通安全に関する基本政策等に係る調査」(令和7年3月)の第2章は、全国の16歳以上3,000人に交通安全についての考えを聞いた国民アンケートです。調査時期は2024年(令和6年)7月31日〜8月8日で、インターネット調査会社のモニターから回答を集めています。この中に、免許の自主返納についての設問があります(国民アンケートの全体)。

「いずれ返納する」は65.9%

免許を持っている人と取得予定の人(2,519人)に、返納についての考えを1つ選んでもらった結果です(第2章 Q7・図表2-14)。

返納についての考え割合
いずれ返納する予定がある(返納を予定している年齢がある)8.2%
いずれ返納するつもりだが、今のところ予定は立てていない57.7%
分からない16.3%
返納するつもりはない17.8%

報告書は、前の2つを合わせた65.9%を「返納意向のある者」としています。前回調査(令和2年3月の報告書)と比べて大きな差は見られなかったとしています。返納を予定している年齢を答えた207人の平均は73.7歳でした。

年齢層別に見ると、報告書は返納意向のある人の割合が年齢が進むに従い増加傾向にあったとしていて、65歳以上75歳未満(391人)と75歳以上(317人)ではどちらも8割を超えています(図表2-16)。「返納するつもりはない」が最も多かったのは16歳以上25歳未満の24.1%で、75歳以上は11.4%でした。

返納しない理由は「移動に支障が生じて不便」が最多

「返納するつもりはない」と答えた448人に、その理由を当てはまるものすべて選んでもらった結果です(第2章 Q9・図表2-24)。

返納しない理由割合
日常生活での移動に支障が生じて、不便だから44.0%
災害や家族の急病等緊急時のために念のために所持しておきたいから27.9%
運転することが楽しいから20.5%
仕事に必要だから20.3%
高齢になっても、支障なく運転できるから17.9%
サポカーを利用すれば安全だから4.5%
その他7.4%

報告書は、規模の小さい市区町村に住む人ほど「日常生活での移動に支障が生じて、不便だから」を選ぶ割合が大きかったとしています(図表2-25)。

※ 設問は「高齢になった免許保有者が、運転免許証を自主的に返納する制度があります」と前置きして、すべての年齢層に聞いています。返納した件数ではなく、意向を尋ねた調査です。

返納を考えるときに関係する制度

  • 運転を続ける場合の選択肢: 運転できる車を安全運転支援装置の付いた普通自動車に限るサポートカー限定免許があります。
  • 70歳・75歳からの更新: 高齢者講習・認知機能検査・運転技能検査は高齢者講習・認知機能検査・運転技能検査で解説しています。
  • 返納した人への支援: 警察庁は、自主返納した人を対象に、地域の実情に応じて自治体や事業者等による支援が行われていると案内しています。内容は地域で異なるので、住所地の自治体や都道府県警察の案内で確認してください。

返納するかどうかは、ご本人とご家族で話し合って決めることです。運転を続ける間は、体調のすぐれない日や夜間の運転を控え、速度を控えめにした運転を心がけてください。

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よくある質問

道路交通法104条の4の「申請による取消し」です。免許を受けた人が住所地を管轄する公安委員会に免許の取消しを申請し、公安委員会が政令の定めに従って免許を取り消します(104条の4第1項・2項)。申請は施行規則の様式の申請書を提出し、免許証(免許の情報が記録されたマイナンバーカードを持っている場合はそのカードも)を提示して行います(施行規則30条の7第1項・2項)。

道路交通法104条の4第1項は申請できる人を「免許を受けた者」としていて、年齢の要件は書かれていません。警察庁も、運転免許が不要になった人や、加齢に伴う身体機能の低下などで運転に不安を感じるようになった高齢運転者が返納できると案内しています。

できません。取消し・停止の基準に該当している人や、免許の停止中の人は、申請しても免許は取り消されません(施行令39条の2の4第2号・3号)。警察庁も、行政処分中の人や停止・取消処分の基準等に該当する人は自主返納できないと案内しています。

自主返納で免許を取り消された人と、更新を受けずに免許が失効した人が申請できます(道路交通法105条の2第1項)。申請は取消し・失効の日から5年以内で、現に受けている免許がないことが条件です(施行令39条の2の6第1項)。違反などによる取消しの人や、一部だけを返納してほかの免許を受けた人は対象外です。

警察庁は、平成24年(2012年)4月1日以降に交付された運転経歴証明書は、運転免許証に代わる公的な本人確認書類として利用できると案内しています。運転経歴証明書には、氏名・住所・生年月日と写真のほか、取消し・失効の日の前5年間の運転経歴が記載されます(施行規則30条の9)。

走行予定エリアを事前に確認し、「気をつけよう」という意識づけにご活用ください。取り締まりを回避する目的のものではありません。

AREA DATA

都道府県別の取り締まりデータ

道路交通法違反の検挙件数(人口千人当たり・2023年度)は都道府県で差があります。全国平均は 36.1件。

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本記事は安全運転の注意喚起を目的とした一般的な情報提供です。取り締まりの回避を勧めるものではありません。最新かつ正確な情報は、警察庁・各都道府県警察などの公式情報をご確認ください。