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交通安全の国民アンケート2024——不満が最も多い対策は悪質違反の取締り・罰則(37.7%)

第12次交通安全基本計画をつくる前に、内閣府は全国の16歳以上3,000人に交通安全についての考えを聞きました。8つの交通安全対策のうち「満足していない」が最も多かったのは、悪質な違反の取締りや罰則を含む「道路交通秩序の維持」でした。報告書の数字を原文で確かめます。

取り締まりマップ編集部安全運転支援チーム
公開:2026.10.26約10分で読めます

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「対策への不満が最多は」「取締り・罰則の37.7%」の文字と、一番上の1本だけが赤く最も長い横棒グラフが描かれた白い紙を描いた、マスコットのトラくんを添えたイラスト

政府の交通安全の5か年計画である第12次交通安全基本計画(令和8年度〜令和12年度)は、2026年3月27日に決定されました。その検討の材料として、内閣府は計画の決定より前に、国民が交通安全をどう見ているかを調べています。

内閣府「道路交通安全に関する基本政策等に係る調査」(令和7年3月)の第2章「交通安全意識等に関する国民アンケート調査」です。8つの交通安全対策について満足度と重要性を聞いたところ、**「満足していない」が最も多かったのは、悪質な違反の取締りや罰則を例に挙げた「道路交通秩序の維持」**でした。取締りに関わる部分を中心に、報告書の数字を原文で読みます。

どんな調査か

調査は、内閣府が設けた「道路交通安全に関する基本政策等検討会」(座長は千葉工業大学の赤羽弘和教授)の検討を踏まえてまとめられました。検討会は令和6年6月24日から令和7年1月16日まで4回開かれ、警察庁交通局交通企画課長もオブザーバーとして名を連ねています(報告書 第1章 図表1-2・1-3)。

報告書は、第12次計画をつくるために検討すべき事項を整理する目的で、第11次計画の評価書の作成、国民アンケート、地方公共団体・関係団体への調査、道路交通事故の長期予測などを行ったとしています(第1章 第1項)。このうち長期予測は、第12次計画の目標値の根拠として計画本文にも引かれています。

国民アンケートの概要は次のとおりです(第2章 第1項)。

項目内容
対象全国の16歳以上の3,000人(男性1,448人・女性1,552人)
集め方令和5年1月1日の住民基本台帳の人口にもとづいて性別・年齢層・地域ごとに人数を割り付け、インターネット調査会社のモニターから回収
調査時期2024年7月31日〜8月8日
比べている調査内閣府「道路交通安全に関する基本政策等に係る調査報告書 令和2年3月」の国民アンケート(報告書は「前回調査」と呼ぶ)

※ 内閣府「道路交通安全に関する基本政策等に係る調査(令和7年3月)」第2章 第1項・第3項の注記による。詳細は必ず公式情報をご確認ください。

回答者は、無作為に選んだ住民ではなく、インターネット調査会社に登録しているモニターです。人数は人口の構成に合わせて割り付けられていますが、結果を読むときはこの集め方を前提にしておく必要があります。

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不満が最も多かったのは「道路交通秩序の維持」

調査票は、8つの交通安全対策それぞれに具体例を添えて、満足度(Q19)と今後の重要性(Q20)を5段階で聞いています。取締りに関わるのは「道路交通秩序の維持」で、添えられた例は「悪質性、危険性、迷惑性の高い違反に対する指導取締り体制を充実したり、罰則を強化したりする」です。

8つの対策の結果を、「満足していない」(「全く満足していない」と「あまり満足していない」の合計)が多い順に並べます。

対策満足していない(今回)満足していない(前回)今後重要(今回)
道路交通秩序の維持(取締り体制・罰則など)37.7%21.1%73.4%
道路交通環境の整備(歩道・信号機・横断歩道など)25.5%28.9%73.8%
交通安全思想の普及(安全教育・広報啓発など)23.9%39.2%68.8%
安全運転の確保(運転免許制度・事業所の安全運転指導など)23.9%25.3%69.3%
被害者対策の推進(損害賠償の適正化・交通事故相談など)21.7%18.3%66.4%
車両の安全性の確保(安全基準・リコール制度など)18.2%29.1%68.2%
研究開発及び調査研究の充実17.1%21.0%59.9%
救助・救急活動の充実14.2%26.0%69.9%

※ 内閣府「道路交通安全に関する基本政策等に係る調査(令和7年3月)」第2章 図表2-36・2-37(n=3,000)の各選択肢の割合を足した値。「今後重要」は「とても重要」と「やや重要」の合計。報告書本文が示す値(37.7%・25.5%・23.9%・73.8%・73.4%・69.9%)とは一致していますが、それ以外は四捨五入された数値の合計のため、報告書の集計と0.1ポイント程度ずれることがあります。対策名の括弧内は調査票の例を短くしたものです。詳細は必ず公式情報をご確認ください。

「道路交通秩序の維持」に「満足していない」と答えた人は37.7%で、2番目の「道路交通環境の整備」(25.5%)を12ポイント余り上回りました。報告書も、満足していない人の割合が最も大きいのはこの対策だとしています(第2章 Q19)。

前回調査から16.6ポイント増えた

前回調査では、この対策に「満足していない」と答えた人は21.1%でした。今回は37.7%で、16.6ポイント増えています。報告書は、前回調査より「満足していない」人が増えた対策としてこの1つを挙げています。

表のとおり、ほかの多くの対策は「満足していない」が前回より減っています。とくに「交通安全思想の普及」は39.2%から23.9%に、「救助・救急活動の充実」は26.0%から14.2%に減りました。グラフの値では「被害者対策の推進」も18.3%から21.7%に増えていますが、報告書が増えた対策として取り上げたのは「道路交通秩序の維持」だけです。

ただし、「道路交通秩序の維持」で減ったのは満足している人ではありません。グラフの値では、「満足している」(「とても」と「やや」の合計)は前回15.5%・今回18.2%で、減ったのは「どちらともいえない」(前回63.5%・今回44.2%)です。どちらとも言えなかった人の一部が、不満の側に移ったように読めます(第2章 図表2-36)。

今後重要という人も多い

同じ対策を「今後重要」とした人は73.4%で、「道路交通環境の整備」の73.8%に次いで2番目でした。「とても重要」だけで見ると44.6%で、8つの対策の中で最も多くなっています(第2章 図表2-37)。前回調査(56.8%)からは16.6ポイント増えました。

報告書は、満足度と重要性をそれぞれ点数にして(「とても満足している」を2点〜「全く満足していない」を−2点など)2つの軸に並べています。今後の重要性が高いのに満足度が低い対策として挙げられたのは、道路交通秩序の維持、道路交通環境の整備、安全運転の確保の3つです。その中でも道路交通秩序の維持は、重要性が最も高く満足度が最も低い位置にあります(第2章 図表2-38)。

ポイント:悪質な違反の取締りや罰則を含む対策は、「今後重要」と考える人が多いのに「満足していない」人も最も多い、という結果でした。前回調査から不満が増えたと報告書が挙げたのは、この対策だけです。

不満の中身はこの調査からは分からない

注意したいのは、この設問が満足の程度を5段階で聞いているだけだという点です。不満の理由を尋ねる設問はありません。

そのため、「取締りが足りない」という不満なのか、「罰則が軽い」という不満なのか、あるいは取締りのやり方への不満なのかは、この調査からは読み取れません。調査票の例が「指導取締り体制を充実したり、罰則を強化したりする」なので、強化の方向で答えた人が多いと考えたくなりますが、報告書はそこまでは書いていません。

報告書の最後には、今後の交通安全対策についての自由記述(Q32)の例が載っています。「国に対する要望」として、「違反に対する処罰を重くする」「あおり運転などの危険行為への対策をしっかり行ってほしい」「自転車のイヤホン使用、歩道危険運転等の罰則を増やして欲しい」といった意見が紹介されています。ただしこれは意見の例を並べたもので、どの意見がどれだけあったかは示されていません。

ヒヤリハット経験では「あおり運転をされた」が2番目

アンケートは、過去3年間に事故には至らなかったが危険を感じた経験(ヒヤリハット)も聞いています(第2章 Q11・図表2-26)。経験があると答えた人数が多かった順は次のとおりです。

ヒヤリハットの場面経験ありの人数
自動車に乗っていて、子どもの登下校中に(相手が原因)405人
自動車に乗っていて、相手にあおり運転をされた391人
歩いていて、電動キックボード等の新たなモビリティが関係(相手が原因)226人

※ 内閣府「道路交通安全に関する基本政策等に係る調査(令和7年3月)」第2章 図表2-26(回答者3,000人のうち、過去3年間に経験が「ある」と答えた人数)。詳細は必ず公式情報をご確認ください。

あおり運転をされた経験がある391人のうち、312人は1回以上5回未満、49人は5回以上10回未満と答えています。あおり運転(妨害運転)の罰則はあおり運転の記事で扱っています。

交通事故についての不安

交通安全全体についての受け止めも聞いています(第2章 Q12〜Q14)。

  • 日常生活で交通事故の被害者になる可能性に不安を感じている人(「常に」と「時々」の合計)は7割を超え、加害者になる可能性に不安を感じている人は64.9%でした。いずれも前回調査と大きな差は無いとされています。
  • 住んでいる地域の道路交通が「安全になっている」と答えた人は10.9%、「危険になっている」は24.4%で、否定的に捉える人のほうが多くなりました。
  • 場所別では、「危険になっている」と捉えられているのは「交通量が多い幹線道路」が32.6%で最も多く、「住宅地内の生活道路」が22.1%、「高速道路」が18.7%と続きます(Q16)。

第12次計画とのつながり

第12次交通安全基本計画は、取締りについて、無免許運転・飲酒運転・妨害運転・著しい速度超過などの悪質・危険な違反と、迷惑性の高い違反に重点を置くとしています。計画の内容は第12次交通安全基本計画の記事で、警察庁がその年度に何を重点にするかは交通安全業務計画(令和8年度)の記事で扱っています。

このアンケートは計画を検討する材料の一つとして行われたものですが、どの結果が計画のどの記述につながったのかは、報告書にも計画にも書かれていません。また、アンケートの結果で反則金や罰則が変わるわけではありません。反則金の額と違反点数は道路交通法施行令の別表で決まっています。

安全運転のために

このアンケートでは、悪質・危険な違反への対策を重要と考える人が7割を超えました。あおり運転、飲酒運転、著しい速度超過は、どれも運転する一人ひとりが避けられる違反です。車間距離を十分に取り、子どもの登下校の時間帯や生活道路では速度を落として、安全運転を心がけましょう。

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よくある質問

2024年7月31日から8月8日にかけて、全国の16歳以上の3,000人を対象に行われました。令和5年1月1日の住民基本台帳の人口にもとづいて、性別・年齢層・地域ごとに人数を割り付け、インターネット調査会社のモニターから回答を集めています。結果は内閣府「道路交通安全に関する基本政策等に係る調査」(令和7年3月)の第2章にまとめられています。

調査票では「悪質性、危険性、迷惑性の高い違反に対する指導取締り体制を充実したり、罰則を強化したりする」という例が添えられています。回答者はこの例を見て満足度と重要性を答えています。この対策に「満足していない」と答えた人は37.7%で、8つの対策の中で最も多くなりました。

この調査からは分かりません。設問は満足の程度を5段階で聞くだけで、不満の理由は尋ねていないためです。自由記述の例として報告書には「違反に対する処罰を重くする」「あおり運転などの危険行為への対策をしっかり行ってほしい」といった意見が載っていますが、これは回答の一部の紹介で、割合は示されていません。

変わりません。アンケートは第12次交通安全基本計画を検討する材料の一つとして行われた調査で、反則金や罰則を定めるものではありません。反則金の額や罰則は、道路交通法と道路交通法施行令で決まっています。

報告書の注記によると、内閣府「道路交通安全に関する基本政策等に係る調査報告書 令和2年3月」に載っている国民アンケートです。今回の結果の多くは、この前回調査と比べて示されています。

AREA DATA

都道府県別の取り締まりデータ

道路交通法違反の検挙件数(人口千人当たり・2023年度)は都道府県で差があります。全国平均は 36.1件。

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本記事は安全運転の注意喚起を目的とした一般的な情報提供です。取り締まりの回避を勧めるものではありません。最新かつ正確な情報は、警察庁・各都道府県警察などの公式情報をご確認ください。