妨害運転(あおり運転)違反の種類

あおり運転(妨害運転)とは?11類型と2020年の法改正、通報の考え方

あおり運転は2020年の法改正で「妨害運転罪」として明確に。11類型と罰則の目安、そしてあおられたときの落ち着いた対処までを整理します。

取り締まりマップ編集部安全運転支援チーム
公開:2026.07.14更新:2026.08.308分で読めます
後方から車間を詰めるあおり運転を側面から表した、マスコットのトラくんのアイキャッチ

あおり運転は、他の車の通行を妨害する危険な行為です。2020年の道路交通法改正で「妨害運転罪」として明確に位置づけられ、厳しい取り締まりの対象になりました。ここでは対象となる11類型と2020年の法改正、違反点数・罰則の目安、そして万一あおられたときの落ち着いた対処までを整理します。

妨害運転罪とは(2020年の法改正)

「あおり運転」は、他の車両の通行を妨げる目的で、車間距離を詰める、急ブレーキをかける、危険な進路変更をするなど、一定の違反を行う行為を指します。こうした行為は重大な事故につながる危険が高く、社会的な問題となったことを背景に、2020年(令和2年)6月の道路交通法改正で「妨害運転罪」が創設されました。

ポイント:妨害運転罪は、違反1回でも免許取消しの対象となり得る重い違反です。「相手が悪い」と感じても、張り合わず距離をとることが安全につながります。

妨害運転の11類型

妨害運転罪の対象とされるのは、次の11類型の違反行為です。いずれも他の車の通行を妨害する目的で行われた場合に対象になるとされています。

妨害運転(あおり運転)の11類型を並べた図
図:妨害運転(あおり運転)の11類型
  1. 通行区分違反(対向車線へのはみ出しや逆走など)
  2. 急ブレーキ禁止違反(不必要な急ブレーキ)
  3. 車間距離不保持(車間を詰めて接近する)
  4. 進路変更禁止違反(危険な割り込み・幅寄せ)
  5. 追越し違反(危険な追越し)
  6. 減光等義務違反(不必要なハイビームなど)
  7. 警音器使用制限違反(不必要なクラクション)
  8. 安全運転義務違反(幅寄せや蛇行運転など)
  9. 最低速度違反(高速自動車国道等での低速走行)
  10. 高速自動車国道等駐停車違反(本線上での停車など)
  11. 自転車等の右側を通過する場合の通行方法の違反(2026年4月1日から追加)

11番目は、2026年4月1日から対象に加わったものです。自転車や電動キックボード(特定小型原動機付自転車等)以外の車両が、同じ方向に進行しているこれらの右側を通過するとき(追い越す場合を除く)、両者の間に十分な間隔がなければ、間隔に応じた安全な速度で進行しなければならない、という義務です(道路交通法第18条第3項)。歩道や自転車道を通行している自転車等は、括弧書きで対象から除かれています。もとになっているこの規定は、車道での自動車等と自転車等の側方接触を防ぐために設けられたもので、この場面に特化している点が他の10類型と異なります。規定そのものの中身は自転車の右側を通過するときの新ルールで整理しています。

ポイント:「10類型」と説明しているものも見かけますが、それは2026年4月1日の追加より前の内容です。現行法で対象とされているのは11類型です。

違反点数・罰則の目安

妨害運転罪は道路交通法第117条の2の2第1項第8号に置かれています。他の車両等の通行を妨害する目的で、同号のイからルまでに掲げられた行為(前節の11類型にあたります)を、その車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法で行った場合が対象です。これによって高速自動車国道等で他の自動車を停止させるなど、道路における著しい交通の危険を生じさせた場合は、同法第117条の2第1項第4号のより重い罰則が適用されます。違反点数・罰則の目安は次のとおりです。

区分違反点数罰則(刑事罰)の目安
妨害運転(交通の危険のおそれ)25点免許取消(欠格2年)/3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
妨害運転(著しい交通の危険)35点免許取消(欠格3年)/5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金

※ 点数・罰則は目安の一般情報です。違反の態様や前歴、最新の法令により異なります。「著しい交通の危険」は高速道路で相手の車を停止させるなど、特に危険な場合の例です。「拘禁刑」は2025年6月に懲役・禁錮を一本化した刑です。詳細は必ず警察庁・各都道府県警察などの公式情報をご確認ください。

ほかの違反の反則金や点数は、交通違反の反則金一覧交通違反の点数一覧にまとめています。

2026年3月6日に警察庁が対処方針の通達を出し直しています

警察庁は2026年(令和8年)3月6日付けで、各都道府県警察に対し「妨害運転等の悪質・危険な運転に対する厳正な対処について」と題する通達を発出しました(丁交企発第37号ほか)。2020年の法改正に合わせて出されていた令和2年6月12日付けの通達は、この通達によって廃止されています。出し直しの理由として通達が挙げているのは、妨害運転に対する罰則が創設されてからもなお、妨害運転等に起因する交通死亡事故が毎年継続的に発生していることです。

指示の内容は、広報啓発活動、更新時講習や安全運転管理者等に対する講習での教育、指導取締り、行政処分の4つに分かれています。罰則についての広報では、警察庁自身が「最大で3年の拘禁刑」「著しい交通の危険を生じさせた場合は最大で5年の拘禁刑」という書き方をしています。

取り締まりは「手前」の違反にも向けられます

通達は、妨害する目的で行われる悪質・危険な運転が関係する事案を認知した場合には、客観的な証拠資料の収集等を積極的に行い、妨害運転罪や危険運転致死傷罪(妨害目的運転)等のあらゆる法令を駆使して厳正な捜査を尽くすよう求めています。

あわせて、妨害運転等を未然に防止するため、車間距離不保持、進路変更禁止違反、急ブレーキ禁止違反といった道路交通法違反そのものについて、積極的な交通指導取締りを推進することも指示しています。「妨害する目的」が問題になる場面だけでなく、その手前にある個々の違反にも取り締まりが向けられるという整理です。また、妨害運転等に関する情報を受け付ける専用のウェブサイトを開設し、分析体制を整備するなど、捜査体制の充実に努めることも求めています。

妨害運転罪の適用が難しい場合の行政処分(危険性帯有)

妨害運転をした人はその行為だけで免許取消しの対象になるため、通達はまず、迅速かつ確実に行政処分を上申するよう求めています。そのうえで、妨害運転罪や危険運転致死傷罪(妨害目的運転)等の適用が困難な場合であっても、悪質・危険な運転に起因して暴行、傷害、脅迫、器物損壊等(通達はこれらを「関連行為」と呼んでいます)が伴うときは、その関連行為の実態や、その人のこれまでの行政処分の前歴・違反歴等を踏まえて評価し、今後自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあると認めたときは、いわゆる危険性帯有(道路交通法第103条第1項第8号)の対象者として行政処分を上申するよう指示しています。

危険性帯有は、免許を受けた人が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるときに、公安委員会が政令で定める基準に従って免許を取り消し、または6か月を超えない範囲で期間を定めて免許の効力を停止することができるという規定です。刑事の手続とは別の道筋が用意されている点は、知っておいてよい部分です。

ポイント:行政処分の上申にあたっては、関連行為を扱った所属や交通事故事件捜査の担当課と緊密に連携するよう、通達は行政処分担当課に求めています。刑事と行政のどちらか一方で終わる話ではない、という前提で運用されています。

あおられたときの対処・通報

万一あおられてしまったときは、相手と張り合わないことが第一です。落ち着いて次のような行動を心がけましょう。上の通達も、妨害運転を受けるなどした場合には、サービスエリアやパーキングエリア等、交通事故に遭わない場所に避難するとともに車外に出ることなく110番通報することを広報するよう求めています。ドライブレコーダーについても、被害を受けたことの認定に役立ち、かつ被害の防止にもつながるものとして挙げられています。

挑発に応じない

速度を上げたり張り合ったりせず、車間を保って冷静に運転します。相手を刺激しないことが第一です。

安全な場所へ避難

サービスエリアやコンビニなど、人がいる安全な場所に入って停車します。停車後はドアをロックし、むやみに車外へ出ないようにします。

記録して通報

危険を感じたら110番へ通報します。ドライブレコーダーの記録が状況の把握に役立つことがあります。

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よくある質問

他の車の通行を妨害する目的で、車間距離を詰める・急ブレーキをかけるなど一定の違反を行うことを指します。2020年の道路交通法改正で「妨害運転罪」として位置づけられました。(本記事は注意喚起を目的とした一般情報です)

車間距離不保持や急ブレーキ、危険な進路変更・追越し、不必要なクラクションなど11類型が対象とされています。2026年4月1日からは、自動車等が自転車等の右側を通過するときの通行方法の違反も対象に加わりました。高速道路で相手の車を停止させるなど著しく危険な場合は、より重く扱われます。

警察庁が2026年3月6日付けで発出した通達は、妨害運転罪や危険運転致死傷罪(妨害目的運転)などの適用が困難な場合であっても、暴行・傷害・脅迫・器物損壊などの行為を伴うときはこれらを評価し、いわゆる危険性帯有(道路交通法第103条第1項第8号)の対象者として行政処分を上申するよう指示しています。刑事の手続とは別に、免許の取消しや停止という道筋が用意されています。

前後を記録できるドライブレコーダーは、万一のときの状況記録に役立つとされています。ただし記録のために無理な運転をするのは本末転倒です。安全運転を最優先にしてください。

挑発に応じず車間を保ち、サービスエリアやコンビニなど安全な場所に避難して停車し、危険を感じたら110番に通報することが考えられます。ドアをロックして車外に出ないなど、身の安全を優先してください。

走行予定エリアを事前に確認し、「気をつけよう」という意識づけにご活用ください。取り締まりを回避する目的のものではありません。

本記事は安全運転の注意喚起を目的とした一般的な情報提供です。取り締まりの回避を勧めるものではありません。最新かつ正確な情報は、警察庁・各都道府県警察などの公式情報をご確認ください。