警察庁は「交通事故統計情報のオープンデータ」として、交通事故1件ごとの個票を CSV で公開しています。2019年(平成31年/令和元年)分から毎年追加されており、2025年(令和7年)分が2026年10月1日に掲載されました(掲載日はファイルの更新日時による)。
月報や年報の統計表は、警察庁が集計した結果の表です。オープンデータは、その集計の元になる事故1件ごとの記録で、発生日時・緯度経度・天候・路面・信号機・一時停止規制・速度規制などの組み合わせを自分で集計できます。ここでは令和7年分の中身を確認し、全件を集計した結果を整理します。
何が公開されたか——本票・補充票・高速票の3種類
2025年(令和7年)分のページには、次のファイルが並んでいます。
| ファイル | 中身 | 令和7年分の行数 |
|---|---|---|
本票(honhyo_2025.csv・60.0MB) | 交通事故1件につき1行。事故の内容と、事故に関与した当事者A・当事者Bの2人分の事項 | 287,023行 |
補充票(hojuhyo_2025.csv・2.65MB) | 本票に載らない関与者のうち、死傷した人などを1人につき1行 | 57,827行 |
高速票(kosokuhyo_2025.csv・315KB) | 高速自動車国道等の事故1件につき1行。道路構造・曲線半径・縦断勾配など | 5,961行 |
| ファイル定義書・各種コード表(PDF/xlsx) | 各列の桁数と、コードの意味 | — |
※ 行数は CSV のタイトル行を除いて数えたもの。高速票の対象は、警察庁「交通事故統計データの概要」によれば高速自動車国道と、道路交通法施行令第42条第1項により指定される自動車専用道路の事故です。
本票の列は68項目で、2024年(令和6年)分と項目名・並び順とも同じです。主な列は次のとおりです。
- いつ:発生日時(年・月・日・時・分)、曜日、祝日(当日・前日・その他)、昼夜(日の出・日の入りの前後1時間を「明」「暮」として区分)
- どこで:都道府県・警察署・市区町村のコード、路線コード、緯度・経度
- どんな道路で:地形(市街地・非市街地)、道路形状、信号機、一時停止規制の標識と表示、車道幅員、道路線形、中央分離帯、歩車道区分、ゾーン規制(ゾーン30)、速度規制
- どんな状況で:天候、路面状態、事故類型
- 誰が:当事者A・Bそれぞれの年齢層、当事者種別、用途、車両形状、AT車かどうか、サポカーかどうか、人身損傷程度、認知機能検査からの経過日数など
ファイルは Shift_JIS(文字コード cp932)のカンマ区切りで、各列の値はコード(数字)です。コードの意味はコード表で引きます。
全件を足すと年報と一致する
本票28万7,023行の「事故内容」「死者数」「負傷者数」を集計し、警察庁の年報「令和7年中における交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」(e-Stat 掲載)の表1-1と並べました。
| 区分 | オープンデータ(本票の集計) | 年報 表1-1(令和7年12月末) |
|---|---|---|
| 交通事故件数 | 287,023件 | 287,023件 |
| 死亡事故件数 | 2,495件 | 2,495件 |
| 死者数 | 2,547人 | 2,547人 |
| 負傷者数 | 338,508人 | 338,508人 |
4項目とも一致しました。昼夜別の死亡事故件数(年報 表2-6-5)、事故類型別の死亡事故件数(同 表3-5-1)、都道府県別の事故件数(同 表6-2。札幌・東京・神奈川で確認)も一致しています。
コード表によれば、死者は事故発生から24時間以内に亡くなった人、負傷者は治療を要する人です。本票の全行で死者か負傷者が1人以上おり、物損事故は入っていません。
ポイント:オープンデータは公開後に修正されません。警察庁のページは「後日新たな事実が判明した場合等にはデータの修正が行われる場合がありますが、公開データを修正することはありません」として、統計表と相違することがあると注記しています。ここでの一致は、2026年10月2日に集計した時点のものです。
いつ起きているか——17時台が最多、12月が最多
本票の「発生日時」の時を集計すると、事故件数が最も多いのは17時台の26,206件(9.1%)で、次いで8時台24,934件(8.7%)、18時台21,316件(7.4%)、7時台20,930件(7.3%)でした。朝の7〜8時台と夕方の17〜18時台に山が二つあり、最も少ないのは3時台の1,368件(0.5%)です。
月別では12月の27,578件(9.6%)が最も多く、10月25,705件、11月25,498件、7月25,373件と続きます。最も少ないのは2月の21,523件(7.5%)でした。曜日別では金曜日の47,553件(16.6%)が最多、日曜日の29,731件(10.4%)が最少です。死亡事故2,495件に限ると、曜日別の最多は土曜日の418件、最少は日曜日の319件でした。
昼夜別の死亡事故件数は昼間1,305件・夜間1,190件で、日の入り後1時間の「夜-暮」が184件あります。昼夜の区分と夕暮れ時の事故については薄暮時間帯の事故の記事で扱っています。
どんな道路で起きているか
信号機の無い場所が事故の73.0%、死亡事故の80.6%
「信号機」の列は、事故が信号機の効力の及ぶ範囲(交差点の側端から30m以内など)で起きた場合に、当事者が対面した信号機の作動状況を記録します。
| 信号機 | 事故件数 | 構成率 | うち死亡事故 | 死亡事故の構成率 |
|---|---|---|---|---|
| 施設なし | 209,436件 | 73.0% | 2,011件 | 80.6% |
| 点灯-3灯式 | 70,758件 | 24.7% | 414件 | 16.6% |
| その他(歩車分式・押ボタン式・点滅・消灯・故障) | 6,829件 | 2.4% | 70件 | 2.8% |
| 合計 | 287,023件 | 100.0% | 2,495件 | 100.0% |
※ 本票の集計。「その他」は表の値から算出した。
信号機の無い場所で起きた事故は全体の73.0%ですが、死亡事故に限ると80.6%に上がります。
当事者A・Bのどちらかの交差点への進入箇所に一時停止の標識があった事故は39,433件(13.7%)、死亡事故では145件でした(「一時停止規制 標識」の列は交差点内の事故だけを対象にしています)。一時停止の義務と違反したときの扱いは一時不停止の記事で扱っています。
非市街地は事故の18.3%、死亡事故の40.5%
「地形」の列は、事故が起きた場所を市街地(人口集中地区とそれ以外)と非市街地に分けています。
| 地形 | 事故件数 | 構成率 | うち死亡事故 | 死亡事故の構成率 |
|---|---|---|---|---|
| 市街地-人口集中 | 149,569件 | 52.1% | 958件 | 38.4% |
| 市街地-その他 | 85,067件 | 29.6% | 526件 | 21.1% |
| 非市街地 | 52,387件 | 18.3% | 1,011件 | 40.5% |
※ 本票の集計。
事故の半数は人口集中地区の市街地で起きていますが、死亡事故の件数は非市街地が1,011件で最も多くなっています。非市街地の事故は52,387件のうち1,011件(1.9%)が死亡事故で、人口集中地区(0.6%)の約3倍の割合です(割合は表の値から算出した)。
事故類型——件数は車両相互、1件当たりの重さは車両単独
| 事故類型 | 事故件数 | 構成率 | うち死亡事故 | 死亡事故の構成率 |
|---|---|---|---|---|
| 車両相互 | 235,950件 | 82.2% | 911件 | 36.5% |
| 人対車両 | 38,693件 | 13.5% | 843件 | 33.8% |
| 車両単独 | 12,325件 | 4.3% | 706件 | 28.3% |
| 列車 | 55件 | 0.0% | 35件 | 1.4% |
※ 本票の集計。死亡事故の件数と構成率は年報 表3-5-1と一致。
事故件数の8割以上は車両どうしの事故ですが、死亡事故に占める割合は36.5%です。人対車両は事故件数の13.5%で死亡事故の33.8%、車両単独(工作物への衝突・路外逸脱など)は事故件数の4.3%で死亡事故の28.3%を占めます。類型ごとの特徴は事故類型別の傾向の記事で扱っています。
速度規制とゾーン30
本票の「速度規制(指定のみ)」は、当事者が原付以上の車両の場合に、公安委員会または警察署長が道路標識等により指定した最高速度を記録する列です(コード表)。標識等で最高速度が指定されていない道路は「指定の速度規制なし等」に入ります。
当事者Aが原付以上の車両だった事故272,110件について、当事者Aの側の速度規制を集計しました。
| 速度規制(当事者A) | 事故件数 | 構成率 | うち死亡事故 |
|---|---|---|---|
| 指定の速度規制なし等 | 94,006件 | 34.5% | 877件 |
| 20km/h以下 | 3,063件 | 1.1% | 8件 |
| 30km/h以下 | 29,280件 | 10.8% | 149件 |
| 40km/h以下 | 73,804件 | 27.1% | 602件 |
| 50km/h以下 | 55,115件 | 20.3% | 624件 |
| 60km/h以下 | 14,017件 | 5.2% | 55件 |
| 70km/h以下〜120km/h超過 | 2,825件 | 1.0% | 74件 |
| 合計 | 272,110件 | 100.0% | 2,389件 |
※ 本票の集計。当事者Aが原付以上の車両でない事故(コード「対象外当事者」)14,913件を除いた。「70km/h以下〜120km/h超過」は表の値から算出した。
最も多いのは「指定の速度規制なし等」の34.5%で、死亡事故でも877件と最多です。令和7年分は2025年中の事故なので、2026年9月1日からの生活道路の法定速度の変更より前のデータです。法定速度の変更の中身は生活道路の法定速度30km/h化の記事で扱っています。
「ゾーン規制」の列は、事故が起きた場所が「ゾーン30」の区域内かどうかを記録しています。ゾーン30の区域内の事故は3,871件(1.3%)で、死亡事故は10件・死者10人でした。
地点の情報——緯度・経度は度分秒
本票の全行に「地点 緯度(北緯)」「地点 経度(東経)」があり、コード表は「世界測地系(度分秒)」と定めています。緯度は9桁、経度は10桁の数字で、度・分・秒を区切らずに並べた形です。令和7年分では、緯度・経度が0で入っている行が3行ありました。
警察庁のオープンデータのページには、データを使うためのツールとして「事故多発地点解析ツール」(Excel マクロ)とそのマニュアル、国土交通省の「オープンデータを用いた交通事故発生箇所の地図化マニュアル」へのリンクも置かれています。
都道府県コードは警察の区分による2桁のコードで、都道府県の JIS コードとは別物です。北海道は札幌(10)・函館(11)・旭川(12)・釧路(13)・北見(14)の5方面に分かれ、東京は30です。都道府県別に集計するときはコード表で対応を確認してください。
数字を読むときの注意
- オープンデータは公開後に修正されません。後日の統計表と数字が食い違うことがあります(警察庁のオープンデータのページの注記)。
- ここでの集計は、本票(事故1件につき1行)を2026年10月2日に集計したものです。年報の表にない組み合わせ(信号機別・地形別・速度規制別など)は、当サイトが本票から集計した値で、警察庁の公表値ではありません。
- 本票に記録される当事者は事故1件につきA・Bの2人です。3人目以降の関与者は補充票にあります。当事者Aの属性で集計した数字は、事故に関与したすべての人の集計ではありません。
- 「一時停止規制」「速度規制」の列は、当事者が車両等でない場合や、交差点内以外の事故などを「対象外当事者」として別に数えます。分母に何を含めたかを確かめてから構成率を読んでください。
交通事故の数字は、どこか遠くの話ではなく、毎日の通勤路や生活道路で起きていることの積み重ねです。夕方の時間帯や信号機の無い交差点では、とくに速度を落とし、左右の安全を確かめてから進んでください。
見かけた取り締まりを共有して、みんなの注意喚起に。
よくある質問
警察庁が公開している、交通事故1件ごとの個票データです。2019年(平成31年/令和元年)から2025年(令和7年)までの各年分が、警察庁「交通事故統計情報のオープンデータ」のページに CSV で掲載されています。2025年分は2026年10月1日に掲載されました。事故1件につき1行を記録する「本票」、本票に載らない関与者を1人1行で記録する「補充票」、高速自動車国道等の事故の道路構造などを記録する「高速票」の3種類があり、各列の意味はファイル定義書とコード表で確認できます。
本票は28万7,023行で、これが令和7年中の人身事故の件数です。全件を集計すると、死亡事故2,495件・死者2,547人・負傷者33万8,508人になり、警察庁の年報「令和7年中における交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」の表1-1の数値と一致します。補充票は5万7,827行、高速票は5,961行です。
入っていません。警察庁の「交通事故統計データの概要」は、交通事故統計の対象を「人の死亡又は負傷を伴う事故」としています。本票の28万7,023行も、すべて死者数か負傷者数が1人以上でした。死者は事故発生から24時間以内に亡くなった人、負傷者は治療を要する人です。
本票の全行に、事故が発生した場所の緯度・経度が記録されています。コード表によれば世界測地系の度分秒で、緯度は9桁、経度は10桁の数字です。このほか都道府県・警察署・市区町村のコード、路線コードも入っています。都道府県コードは警察の区分で、北海道は札幌・函館・旭川・釧路・北見の5方面に分かれています。
あり得ます。警察庁のオープンデータのページは、公表しているデータは公開時の最新のものだが、後日新たな事実が判明した場合等にデータの修正が行われても公開データは修正しないため、別途公表している統計表と相違することがある、と注記しています。令和7年分については、2026年10月2日に集計した時点で、事故件数・死亡事故件数・死者数・負傷者数と、昼夜別・事故類型別の死亡事故件数が年報と一致しました。
されていません。令和7年分は2025年1月から12月の事故のデータで、生活道路の法定速度が変わった2026年9月1日より前のものです。本票の「速度規制(指定のみ)」は標識等で指定された最高速度だけを記録する列で、指定の無い道路は「指定の速度規制なし等」に入ります。
走行予定エリアを事前に確認し、事故の起きやすい交差点や歩行者の多い場所を「気をつけよう」という意識づけにご活用ください。取り締まりを回避する目的のものではありません。
都道府県別の取り締まりデータ
道路交通法違反の検挙件数(人口千人当たり・2023年度)は都道府県で差があります。全国平均は 36.1件。
47都道府県のランキングを見る本記事は安全運転の注意喚起を目的とした一般的な情報提供です。取り締まりの回避を勧めるものではありません。最新かつ正確な情報は、警察庁・各都道府県警察などの公式情報をご確認ください。