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生活道路の法定速度30km/h化とは?2026年9月1日から対象になる道路の見分け方

「道幅5.5m未満の道路が30km/hになる」という説明が広まっていますが、法令の判定基準は道幅ではありません。2026年9月1日から法定速度が30km/hになる道路は、どう見分ければよいのか。条文にあたって整理します。

取り締まりマップ編集部安全運転支援チーム
公開:2026.07.17更新:2026.08.2912分で読めます
中央線の無い住宅街の道路と、法定速度が30km/hになることを示す「30」の表示、マスコットのトラくんを描いたイラスト

2026年9月1日から、中央線等が設けられていない一般道路の法定速度が60km/hから30km/hになります。2024年7月26日に公布された政令(令和6年政令第248号)によるもので、2年あまりの周知期間を置いての施行です。

やっかいなのは、対象になる道路の見分け方です。「道幅5.5m未満の道路」という説明が広く流通していますが、これは法令の判定基準ではありません。ここでは改正後の条文にあたって、どの道路が30km/hになるのかを整理します。

2026年9月1日から変わること

道路標識・道路標示で最高速度が指定されていない一般道路の自動車の法定速度は、これまで一律60km/hでした。2026年9月1日からは、この一律の60km/hが2つに分かれます。

中央線や車両通行帯がある道路など4種類は引き続き60km/hで、それらに当てはまらない中央線の無い一般道路が30km/hになることを、俯瞰の道路図で上下に対比した図
図:法定速度が30km/hになる道路とならない道路の見分け方

変わるのは自動車の法定速度です。原動機付自転車の法定速度は、従来どおり30km/hのままです。

判定基準は道幅ではなく「中央線等の有無」

改正後の道路交通法施行令第11条は、まず60km/hのままである一般道路を列挙し、そこに当てはまらない一般道路を30km/hとする、という組み立てになっています。

60km/h のまま(第1号)

①道路標識等による中央線または車両通行帯が設けられている一般道路、②道路の構造上または柵その他の内閣府令で定める工作物により、自動車の通行が往復の方向別に分離されている一般道路、③自動車専用道路、④高速自動車国道のうち本線車道等以外のもの——の4つです。

30km/h(第2号)

「前号に掲げる一般道路以外の一般道路」。つまり、上の4つのどれにも当てはまらない一般道路が、すべて30km/hになります。

法令の組み立ては「狭い道路を30km/hにする」ではなく、「60km/hの列挙に当てはまらない一般道路を、すべて30km/hにする」です。30km/hのほうが残りを引き受ける側になっています。警察庁も、対象を「主に地域住民の日常生活に利用されるような、中央線等がない道路(=生活道路)」と説明しています。

第1号の②にある「内閣府令で定める工作物」は、道路交通法施行規則第5条の6の3で「柵、駒止め、棒状の工作物その他の工作物」で、自動車が右の部分にはみ出して通行することのないように設置されているもの、と定められています。

ポイント:見分けるときに探すのは道幅ではなく、中央線・車両通行帯・中央分離帯などの「仕切り」です。仕切りが無ければ、標識による指定がないかぎり30km/hになります。

なお、高速自動車国道の本線車道と、これに接する加速車線・減速車線は、そもそも第11条の「一般道路」の定義から外れています。高速道路の本線を走っているときの最高速度は、この改正の影響を受けません。

「主に道幅5.5m未満」はどこから来た数字か

政府広報などの説明で「主に道幅5.5m未満の道路」という表現が使われることがあります。これは実態としての説明であって、法令上の判定基準ではありません。「5.5m未満だから30km/h」「5.5m以上だから60km/h」と判断すると、取り違えます。

5.5mという数字は、警察庁が生活道路の交通事故を分析するときに使ってきた区分です。ゾーン30の資料では、全交通事故のうち車道幅員5.5m未満の道路で起きた事故の割合(令和6年で23.2%)や、5.5m未満の道路では歩行中・自転車乗用中の死傷者が占める割合が5.5m以上の道路の約1.9倍であることが示されています。生活道路の危険性を測るための統計上の区分であり、施行令第11条の要件とは別のものです。

実際には、中央線が引かれている道幅5.5m未満の道路もあれば、中央線の無い5.5m以上の道路もあります。統計上「主に」重なるという説明が、判定基準として受け取られてしまったものと考えられます。

ポイント:「5.5m未満」は事故統計の区分であって、法令の判定基準ではありません。条文には道幅の数値が一切出てきません。

標識で最高速度が指定されている道路は、標識が優先する

法定速度は、道路標識・道路標示による最高速度の指定がない道路に適用されるものです。指定がある道路では、指定されている速度が最高速度になります。この関係は、今回の改正で変わりません。

道路の状況最高速度
中央線等がなく、標識等による指定もない30km/h(2026年9月1日から)
中央線等がないが、標識で40km/hと指定されている40km/h
中央線等があり、標識等による指定はない60km/h
中央線等があるが、標識で30km/hと指定されている30km/h

※ 法定速度は道路標識・道路標示による最高速度の指定がない場合に適用されるものです。指定がある道路では指定されている速度が最高速度になります。詳細は必ず公式情報をご確認ください。

30km/hが適当でない道路は個別に見直される

中央線が無くても、交通の実態からみて30km/hが適当でない道路はあります。警察庁は令和8年度交通安全業務計画で、新たな法定速度の対象となる道路のうち30km/hとすることが適当ではないものの把握に努め、交通実態や住民の要望も踏まえて30km/hを超える最高速度規制を実施する、という方針を示しています。

同じ方針は、道路標識に関する命令の改正案に対する意見募集の結果(2026年6月公表)でも示されています。警察庁はそこで、中央線等の無い一般道路のうち、交通量・車道幅員・設計速度などの観点から30km/hの最高速度が適用されることが実態と合わないものについては交通実態等を踏まえた速度規制等を実施するとしたうえで、その例として40km/hの最高速度を指定することが考えられると述べています。

この点は、法定速度を引き下げる政令案の意見募集(2024年5月31日〜6月29日・449件)でも論点になっていました。幅員は広いものの中央線等が設置されていない郊外の農道や山間部の道路を30km/hの対象から除外すべき、という意見が出ており、警察庁は原案どおりとしたうえで、30km/hが適当でない道路には30km/hを超える最高速度規制を実施するなど所要の対応を行う、と回答しています。

つまり、2026年9月1日に一斉にすべてが30km/hに切り替わって固定されるのではなく、標識による指定で個別に調整されていくことが見込まれます。走行時に確かめるべきなのは、結局のところ現地の標識だということになります。

2026年9月1日に既設の標識が付け替えられるわけではない

法定速度の引き下げと同じ2026年9月1日から、道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(標識令)の改正も効力を持ちます(令和8年内閣府・国土交通省令第3号。2026年6月5日公布)。

ここで押さえておきたいのは、その附則に置かれた経過規定です。警察庁が改正にあわせて発出した通達によれば、改正前の命令の規定により設置された最高速度の標識・標示は、改正後の命令による標識・標示とみなされます(改正後の命令の附則第2項・第3項)。通達は留意事項として、既設の最高速度標識等は改正後も引き続き効力を有するので、都道府県公安委員会で改めて意思決定を取得したり、標識を交換したりする措置を行う必要はない、と明記しています。標識のある道路で、9月1日に表示が一斉に書き換わるわけではありません。

ポイント:2026年9月1日に変わるのは、標識等による指定が無い道路に適用される法定速度です。既に立っている最高速度標識は、そのまま効力を持ち続けます。

改正の中身自体は、牽引をする一部の自動車に関わるものです。車両総重量2,000kg以下の車両を牽引する、その3倍以上の車両総重量の自動車(通達では「特定牽引自動車」と呼ばれています)について、最高速度の標識・標示で40km/h以下の速度を指定できるようにする、というのが改正の内容です。あわせて、標識等が示す速度が40km/hを超える場合は、特定牽引自動車に対しては40km/hを指定することを示すものとされました。

なぜこの改正が要るのかというと、法定速度が30km/hに引き下げられると、この手当てが無い場合、標識で40km/hを指定した道路であっても特定牽引自動車の最高速度は30km/hのままになってしまうためです。通達は、従来の運用を維持するための改正だと説明しています。警察庁は、実際の速度規制にあたって特定牽引自動車についてのみ直ちに40km/hを指定するものではない、とも述べています。

生活道路では危険運転の数値基準も80km/hになる

法定速度が30km/hになることは、危険運転致死傷罪の数値基準にも影響します。2026年7月21日から適用される数値基準は、その道路の最高速度を起点に決まるためです。

最高速度が60km/h以下の道路では、最高速度を50km/h超える速度以上が数値基準に当たります。したがって法定速度が30km/hになる道路では、30km/hに50km/hを加えた80km/h以上が基準になります。中央線のある道路(60km/h)なら110km/h以上ですから、同じ80km/hでも道路によって意味が変わることになります。

ポイント:2026年9月1日以降、中央線等の無い道路では80km/h以上が危険運転致死傷罪の数値基準に当たります。中央線のある道路の110km/h以上とは、30km/hの差があります。

なぜ引き下げられるのか

生活道路は、歩行者や自転車と自動車が分離されないまま同じ空間を共有する道路です。警察庁の資料では、令和6年中の交通事故のうち車道幅員5.5m未満の道路で起きたものが23.2%を占め、この割合は10年間ほぼ横ばいで推移してきたことが示されています。また5.5m未満の道路では、歩行中・自転車乗用中の死傷者が占める割合が5.5m以上の道路の約1.9倍でした。

対策としては、区域(ゾーン)を定めて最高速度30km/hの速度規制を実施する「ゾーン30」が進められてきました。令和6年度末(2025年3月末)時点で全国4,410か所が整備され、区域規制にハンプなどの物理的デバイスを組み合わせる「ゾーン30プラス」も186地区で実施されています(ゾーン30の内数)。

今回の法定速度の引き下げで用いられる30km/hは、このゾーン30が区域規制で使ってきた速度と同じです。区域を指定して個別にかけてきた規制を、中央線等の無い一般道路に法定速度として一律に広げたのが今回の改正、という位置づけになります。

なぜ30km/hなのか

引き下げの立て付けと、30km/hという数値の根拠は、政令案に対する意見募集の結果(2024年7月公表)で説明されています。警察庁はそこで、この改正の考え方を3点にわたって示しました。

なぜ標識規制ではなく法定速度か

中央線等が設置されていない幅員の狭い一般道路については、自動車の速度抑制による安全対策を更に強化する必要がある一方、そうした道路の全てで道路標識等による最高速度規制を実施することは現実的ではない。そこで、法定速度を引き下げることで対応する、と説明されています。

なぜ30km/hか

「規制速度決定の在り方に関する調査研究報告書」(平成21年3月・規制速度決定の在り方に関する調査研究検討委員会)が、自動車の速度30km/hまでが突発事象に対してドライバーが対処可能な速度であるとし、また自動車と歩行者が衝突した場合、接触時の自動車の速度が30km/hを超えると歩行者・自転車が重大な傷害を負う確率は急激に高まるとしていること等から、30km/hが適当であるとされました。

なぜ2026年9月1日か

交通実態に即した最高速度規制の実施等の施行準備と、国民に向けた広報に要する時間を考慮して、施行期日を2026年9月1日としたと説明されています。政令の公布は2024年7月26日で、2年あまりの周知期間が置かれた形です。

ポイント:30km/hという数字は、歩行者・自転車と衝突したときに重大な傷害を負う確率が急激に高まる境目として説明されています。生活道路で速度を落とす意味は、この境目にあります。

警察庁は、決められた速度の範囲内であっても、道路や交通の状況、天候や視界などをよく考えて安全な速度で走るよう呼びかけています。標識の有無にかかわらず、生活道路で速度を落とすことは2026年9月1日を待たずに意味を持ちます。

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よくある質問

道幅は法令上の判定基準ではありません。改正後の道路交通法施行令第11条は、道路標識等による中央線または車両通行帯が設けられている一般道路などを60km/hとし、それ以外の一般道路を30km/hと定めています。判定基準は「中央線等の有無」です。「主に道幅5.5m未満」という説明は実態としての説明であり、中央線のある狭い道路もあれば、中央線のない広い道路もあります。

道路標識・道路標示で最高速度が指定されている道路では、指定されている速度が最高速度になります。法定速度が30km/hになる道路であっても、標識で40km/hと指定されていれば40km/hです。逆に法定速度が60km/hの道路で標識が30km/hであれば30km/hです。法定速度は、標識等による指定がない道路に適用されるものです。

中央線・車両通行帯が引かれているか、中央分離帯や柵などで対向方向と分離されているかが目印になります。いずれも無ければ、標識による指定がないかぎり2026年9月1日から法定速度は30km/hです。警察庁は、30km/hとすることが適当ではない道路の把握に努め、交通実態や住民の要望も踏まえて30km/hを超える最高速度規制を実施するとしています。判断に迷う道路については、都道府県警察本部または警察署に問い合わせることができます。

同じ日から施行される道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の改正(令和8年内閣府・国土交通省令第3号)について、警察庁の通達は、改正前の命令で設置された最高速度の標識・標示は改正後の命令によるものとみなされるので、都道府県公安委員会で改めて意思決定を取得したり、標識を交換したりする必要はない、としています。一方で、30km/hが実態と合わない道路については、交通実態等を踏まえて40km/hなどの最高速度を指定することが考えられる、という方針も示されています。

変わりません。原動機付自転車の法定速度は、従来どおり30km/hです。今回の改正で変わるのは自動車の法定速度です。

走行予定エリアを事前に確認し、速度が出やすい地点を「気をつけよう」という意識づけにご活用ください。取り締まりの回避を目的としたものではありません。

本記事は安全運転の注意喚起を目的とした一般的な情報提供です。取り締まりの回避を勧めるものではありません。最新かつ正確な情報は、警察庁・各都道府県警察などの公式情報をご確認ください。