秋の全国交通安全運動は、2026年は9月21日から9月30日までの10日間でした。運動そのものは毎年行われていますが、重点として何が掲げられるかは年ごとに決まります。
期間や重点は、警察庁交通局長が各都道府県警察の長などに宛てた通達「令和8年秋の全国交通安全運動の実施について」(令和8年7月7日)と、その別添である「令和8年秋の全国交通安全運動推進要綱」(令和8年7月1日 中央交通安全対策会議交通対策本部決定)で確認できます。ここでは、この2つの一次資料から、期間中に何が重点的に指導・取り締まりの対象になったのかを整理し、あわせて、警察庁が運動のたびに公表している交通事故発生状況の資料から2026年と前年(2025年)の運動期間中に実際に起きたことを、運動を前に公表された交通事故分析(2026年9月10日公表)から「秋から年末にかけて何が増えるのか」を見ていきます。
期間は2026年9月21日から30日までの10日間
推進要綱第2は、運動期間を2026年9月21日(月)から30日(水)までの10日間と定めています。あわせて9月30日(水)が「交通事故死ゼロを目指す日」とされています。
運動の目的は推進要綱第1に置かれており、交通安全思想の普及・浸透を図り、交通ルールの遵守と正しい交通マナーの実践を習慣付けること、国民自身による道路交通環境の改善に向けた取組を推進することによって、交通事故防止の徹底を図ることとされています。
主催は内閣府・警察庁をはじめとする関係省庁と都道府県・市区町村、関係団体です。警察だけの行事ではなく、政府全体の運動として組み立てられている点が、通達の書き出しからも読み取れます。
全国重点は3項目
推進要綱第5が掲げる全国重点は、次の3つです。
| 全国重点 | 内容 |
|---|---|
| 〈歩行者〉 | 歩行者の安全確保と反射材用品の着用促進 |
| 〈自動車〉 | 夕暮れ時の早めのライト点灯と飲酒運転や「ながらスマホ」の根絶 |
| 〈自転車〉 | 自転車・特定小型原動機付自転車の交通ルールの理解・遵守の徹底 |
※ 令和8年秋の全国交通安全運動推進要綱 第5の1による。
推進要綱は、この3点を選んだ理由も【趣旨】として示しています。歩行者については、交通事故死者数を状態別に見ると歩行中の割合が最も高く、そのうち高齢者が約7割を占めること、秋口から年末にかけて夜間の歩行中死者が多くなることが挙げられています。自動車については、飲酒運転による死亡・重傷事故が令和5年以降は年間400件を超えて下げ止まっていること、「ながらスマホ」が要因となった死亡・重傷事故が令和2年以降は年々増加していることが理由として示されています。自転車については、自転車乗用中の死者の約8割に法令違反が認められること、死者の約半数が頭部に致命傷を負っていることが挙げられています。
ポイント:重点は「夕暮れ時から夜間」「歩行者」に寄っています。日の入りが早まる時期に、歩行者が絡む事故が増えるという実態に沿った組み立てです。
2026年の運動期間中の結果——死者77人(2026年10月2日公表)
警察庁交通局は運動が終わるたびに期間中の交通事故発生状況を公表しています。令和8年秋の運動(2026年9月21日から30日までの10日間)の分は、2026年10月2日に「令和8年秋の全国交通安全運動期間中の交通事故発生状況」として公表されました。
| 区分 | 令和8年秋の運動期間中 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 交通事故件数 | 6,908件 | −598件(−8.0%) |
| 死者数 | 77人 | −3人(−3.8%) |
| 負傷者数 | 8,211人 | −639人(−7.2%) |
※ 警察庁交通局「令和8年秋の全国交通安全運動期間中の交通事故発生状況」(2026年10月2日公表)の「1 交通事故発生状況」による。前年同期は2025年9月21日から30日まで。数値は速報値で、後日修正されることがある。
交通事故件数・死者数・負傷者数のいずれも前年同期を下回りました。同じ資料の(参考)によれば、秋の運動期間中の死者数は平成29年から令和8年までの10年間で94人(平成29年・30年)から77人(令和8年)まで推移しており、77人は令和3年・令和5年(各63人)、令和6年(74人)に次ぐ少なさです。
死者数77人を状態別に分けると、自動車乗車中が31人(40.3%)、歩行中が26人(33.8%)、二輪車乗車中が11人(14.3%)、自転車乗用中が9人(11.7%)でした。特定小型原動機付自転車の乗車中は0人です。前年同期と比べると、二輪車乗車中が10人減った一方で、自動車乗車中は5人、歩行中は3人増えています。年齢層別では65歳以上が41人と全体の53.2%を占め、そのうち75歳以上が34人(44.2%)でした。
歩行中の死者26人のうち19人が夜
昼夜別に見ると、期間中の死者77人は昼40人・夜37人で、全体ではほぼ半々です。ところが歩行中の死者26人に限ると昼7人・夜19人で、夜が7割を超えました。夜の歩行中の死者は前年同期より6人増えています。歩行中の死者26人のうち65歳以上は15人で、内訳は昼5人・夜10人でした。
〈歩行者〉の重点(反射材用品の着用促進)と〈自動車〉の重点(夕暮れ時の早めのライト点灯)が向けられていた夜間の歩行者の事故は、運動期間中の数字でも減っていません。
ポイント:2026年の運動期間中、死者数全体は前年同期より減りましたが、夜間の歩行中の死者は19人と前年同期より6人多くなりました。
シートベルト・飲酒運転・高齢運転者
自動車乗車中の死者31人のうち、シートベルトを着用していたのは16人、非着用は12人(運転中9人・同乗中3人)、不明が3人でした。非着用の死者は前年同期より2人多くなっています。
運動期間中に発生した飲酒運転による交通事故は35件で、うち死亡事故が1件でした。一般原動機付自転車以上の運転者が第一当事者となった死亡事故は全年齢で64件、うち75歳以上の運転者によるものが13件でした。いずれも、捜査中で確定していないものを除いた数とされています。
「交通事故死ゼロを目指す日」の結果
2026年9月30日の「交通事故死ゼロを目指す日」には、交通死亡事故が7件発生し、7人が亡くなりました。前年の2025年9月30日も7件7人です。この数字は当日に発生した死亡事故を調べたもので、資料の日別死者数(9月30日は8人)とは計上の仕方が異なると注記されています。
日別の死者数は9月25日(金)の12人が最も多く、9月21日(月)の3人が最も少なくなっています。
※ この節の数値はいずれも同資料の「2 交通死亡事故の特徴」(年齢層別・状態別、昼夜別、シートベルト着用有無別、日別)、「3 飲酒運転による交通事故の発生状況」、「4 75歳以上高齢運転者の死亡事故発生状況」、(参考1)(参考3)による。前年同期比は同資料の増減数で、前年の内訳は後日の修正を反映した値と読める(次節の令和7年の公表時の内訳とは、歩行中・自動車乗車中が1人ずつずれる)。
前年(令和7年)の秋の運動期間中に起きていたこと
比較のために、前年の秋の運動の実績も見ておきます。令和7年秋の運動(2025年9月21日から30日までの10日間)の分は2025年10月2日に公表されています。以下は、その公表時点の数値です。
| 区分 | 令和7年秋の運動期間中 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 交通事故件数 | 7,506件 | +419件(+5.9%) |
| 死者数 | 80人 | +6人(+8.1%) |
| 負傷者数 | 8,850人 | +372人(+4.4%) |
※ 警察庁交通局「令和7年秋の全国交通安全運動期間中の交通事故発生状況」(2025年10月2日公表)の「1 交通事故発生状況」による。前年同期は2024年9月21日から30日まで。交通事故件数と負傷者数は速報値で、後日修正されることがある。
死者数80人を状態別に分けると、自動車乗車中が27人(33.8%)、歩行中が22人(27.5%)、二輪車乗車中が21人(26.3%)、自転車乗用中が10人(12.5%)でした。特定小型原動機付自転車の乗車中は0人です。年齢層別では65歳以上が41人と全体の51.3%を占め、そのうち75歳以上が36人(45.0%)でした。
歩行中の死者は、昼より夜のほうが多かった
同じ資料の昼夜別の内訳を見ると、期間中の死者80人は昼49人・夜31人で、全体としては昼のほうが多くなっています。ところが歩行中の死者22人に限ると昼10人・夜12人で、夜のほうが多いという逆の形になります。歩行中の死者22人のうち65歳以上は14人で、内訳は昼7人・夜7人でした。
〈歩行者〉の重点に反射材用品の着用促進が、〈自動車〉の重点に夕暮れ時の早めのライト点灯が置かれているのは、こうした実態に対応したものと読めます。
ポイント:全体で見れば事故は昼のほうが多く起きます。それでも重点が夕暮れ時から夜間に寄せられているのは、歩行中の死者に限ると昼夜が逆転するからです。
飲酒運転と高齢運転者の死亡事故
令和7年秋の運動期間中に発生した飲酒運転による交通事故は36件で、うち死亡事故が1件でした。また、一般原動機付自転車以上の運転者が第一当事者となった死亡事故は全年齢で64件、うち75歳以上の運転者によるものが21件でした。いずれも、捜査中で確定していないものを除いた数とされています。
「交通事故死ゼロを目指す日」の実績
「交通事故死ゼロを目指す日」は目標として設けられた日で、実績を表すものではありません。2025年9月30日には交通死亡事故が7件発生し、7人が亡くなっています。
同じ資料には2008年(平成20年)以降の「交通事故死ゼロを目指す日」の実績が並んでいます。2026年9月30日(7件7人)を含めても、死亡事故が0件になった日はこれまでになく、最も少なかったのは2021年4月10日の1件1人です。
春の運動と並べて見ると
2026年春の運動(令和8年春・4月6日から15日まで)の実績は、交通事故件数7,723件(前年同期比+7.2%)、死者数53人(−17.2%)、負傷者数9,079人(+7.4%)でした。事故件数と負傷者数は増えている一方で死者数は減っており、令和7年秋とは逆の動きになっています。2026年秋(6,908件・77人・8,211人)は、3つとも前年同期を下回りました。
死者数そのものを春と秋で比べると、令和元年から令和8年までの8回のうち、令和5年(春65人・秋63人)を除いて秋のほうが多くなっています。令和7年は春64人に対して秋80人、令和8年は春53人に対して秋77人でした。
※ 令和8年春の数値は警察庁交通局「令和8年春の全国交通安全運動期間中の交通事故発生状況」(2026年4月17日公表)の「1 交通事故発生状況」、春と秋の比較は令和8年秋の資料の(参考1)「全国交通安全運動期間中における交通事故発生状況の推移」による。
なぜ「秋から年末」なのか——警察庁の交通事故分析(2026年9月10日公表)
運動の開始を前に、警察庁交通局は2026年9月10日、「令和8年秋の全国交通安全運動を見据えた交通事故分析について」を公表しました。3つの重点に対応する形で、令和3年から7年までの5年間の交通事故死者数・重傷者数と死亡・重傷事故件数を月別に集計した資料です(自転車の項だけは年別の推移)。10日間の運動期間そのものではなく、運動が始まる秋から年末にかけて何が増えるのかを示しています。
死者数は12月が最多、10月以降は「歩行中」が最多になる
令和3年から7年までの月別交通事故死者数の平均は、2月の185人が最も少なく、10月253人・11月251人・12月288人と、秋から年末にかけて増えています。1月から9月までの月は、いずれも230人未満です。
状態別に5年間の合計を見ると、3月から9月までは自動車乗車中の死者が最も多いのに対し、10月以降は歩行中が最も多くなります。歩行中の死者は9月の334人から10月482人・11月539人・12月664人と増え、自動車乗車中(10月366人・11月358人・12月435人)を大きく上回ります。
| 月 | 死者数(5年平均) | 歩行中(5年合計) | 自動車乗車中(5年合計) |
|---|---|---|---|
| 9月 | 219人 | 334人 | 357人 |
| 10月 | 253人 | 482人 | 366人 |
| 11月 | 251人 | 539人 | 358人 |
| 12月 | 288人 | 664人 | 435人 |
※ 警察庁交通局「令和8年秋の全国交通安全運動を見据えた交通事故分析について」(2026年9月10日公表)の「月別交通事故死者数の推移」と「月別・状態別交通事故死者数の推移【令和3年~7年合計】」による。
歩行中の死者・重傷者は、10月から夜間の割合が5割を超える
歩行中の死者・重傷者数を昼夜に分けて5年間の合計で見ると、夜間の割合は6月の29.1%が最も低く、9月41.2%・10月50.6%・11月57.0%・12月58.9%と、10月から11月にかけて大きく上がります。12月の歩行中死者・重傷者5,025人は、昼2,066人に対して夜2,959人でした。
年齢層別では、歩行中の児童(小学生)の死者・重傷者は10月が202人で最多、歩行中の高齢者(65歳以上)は10月2,240人・11月2,719人・12月3,001人と12月が最多です。令和7年・令和8年の運動期間中に歩行中の死者だけ昼夜が逆転していたのは、この季節的な傾向の入口にあたっていたことになります。
同じ資料は、車道幅員5.5m未満の生活道路で死者・重傷者になった人の状態別の構成率も示しています。児童は歩行中48.5%・自転車乗用中46.8%で、この2つでほぼすべてを占めます。高齢者も歩行中32.4%・自転車乗用中32.0%で、自動車乗車中19.7%・二輪車乗車中15.7%を上回ります。この資料の「生活道路」は車道幅員で区切った集計上の定義で、2026年9月1日から法定速度が30km/hになった道路(中央線等のない道路)と範囲が同じではありませんが、幅の狭い道路では児童と高齢者が歩行者・自転車として被害を受けているという実態は共通しています。
夕暮れ時の死亡事故は10〜12月が7〜9月の約1.7倍
〈自動車〉の重点に「夕暮れ時の早めのライト点灯」が置かれている根拠が、夕暮れ時(日の入り時刻の前後1時間)の死亡事故件数です。5年間の合計で、7〜9月の348件(7月108件・8月103件・9月137件)に対して10〜12月は589件(10月178件・11月214件・12月197件)で、約1.7倍になります。最も少ない6月は70件です。
自動車と歩行者が衝突して歩行者が死亡した事故に絞ると、7〜9月の157件に対して10〜12月は316件と約2.0倍で、10〜12月の316件のうち歩行者が65歳以上だったものが284件(89.9%)です。事故類型は横断中が275件(87.0%)で、そのうち横断歩道以外の横断が196件(62.0%)、横断歩道上が79件(25.0%)でした。資料が示す法令違反の内訳は、自動車側が前方不注意53.6%・歩行者妨害等17.9%・安全不確認11.2%、歩行者側が走行車両の直前直後横断32.7%・横断歩道外横断22.4%・斜め横断4.6%です。
ポイント:夕暮れ時の自動車対歩行者の死亡事故は、横断歩道以外での横断中に、65歳以上の歩行者が被害に遭う形が大半です。通達が横断歩道の歩行者優先の指導徹底と「横断の意思が明確でない歩行者」への一時停止を求めているのは、横断歩道の上だけでは足りないという実態に対応しています。
飲酒運転は12月、「ながらスマホ」は10月が最多
飲酒運転による死亡・重傷事故(第一当事者が一般原動機付自転車以上)は、5年間の合計で12月の221件(死亡事故68件・重傷事故153件)が最多です。10月の198件がこれに次ぎ、最も少ない1月でも159件あります。携帯電話等使用による死亡・重傷事故は10月の71件(死亡事故16件・重傷事故55件)が最多で、9月の61件、7月と11月の56件と続きます。
運動の重点に飲酒運転と「ながらスマホ」の根絶が並んでいるのは、いずれも運動が始まる10月以降に死亡・重傷事故のピークを迎える違反だからです。
※ 飲酒運転の定義は、資料の注記によれば第一当事者の飲酒状況が酒酔い・酒気帯び・基準以下・検知不能のいずれかに該当するもの。携帯電話等使用は、携帯電話・スマートフォン等の使用(通話又は画像目的使用)が要因となって発生した事故を集計したもの。
自転車の死者は減っているが「法令違反あり」は8割前後のまま
自転車乗用中の死者数(第一・第二当事者)は平成28年の504人から令和7年の301人まで減少しています。一方で、死者のうち「法令違反あり」の構成率は令和7年で79.7%、令和6年で82.1%と、平成28年以降8割前後で推移しています。令和8年は6月までで127人・75.6%です。
自転車乗車用ヘルメットの着用率(警察職員による街頭調査)は、令和5年7月の13.5%から令和6年7月17.0%・令和7年6月21.2%・令和8年6月24.4%と上がっています。それでも4人に3人は着用していない状態です。
特定小型原動機付自転車が関係する事故のうち「飲酒あり」の構成率は令和6年の15.1%から令和7年の11.1%へ下がりましたが、自転車(令和7年0.7%)や一般原動機付自転車(同0.6%)と比べると依然として高い水準です。特定小型原動機付自転車が関係する交通事故件数は、令和6年と7年の合計で7月の84件が最多で、死亡事故は令和6年8月と令和7年4月に1件ずつ発生しています。
※ 警察庁交通局「令和8年秋の全国交通安全運動を見据えた交通事故分析について」(2026年9月10日公表)の「自転車~自転車・特定小型原動機付自転車が関係する交通事故発生状況~」による。
通達が指示している交通指導取締り
運動といっても広報啓発だけではありません。通達は「重点的推進事項」の中で、交通指導取締りについても具体的に指示しています。取り締まりに関わる部分を拾うと、次のようになります。
歩行者が関係する交通事故の発生時間帯・発生場所を重点に歩行者の保護に資する交通指導取締りを推進するほか、可搬式速度違反自動取締装置を活用するなどして、生活道路等における交通指導取締りを強化するとしています。
横断歩道等に歩行者等がいないことが明らかな場合を除き、直前で停止可能な速度で進行する義務や、歩行者等優先義務について指導を徹底するとしています。横断の意思が明確でない歩行者がいる場合も、直前で一時停止して意思を確認してから進行するよう指導するとされています。
自動車運転中の携帯電話使用等による死亡・重傷事故が令和3年以降は増加傾向にあることを踏まえ、交通事故実態の分析等に基づいた効果的な交通指導取締りを推進するとしています。
飲酒運転は、取締りの時間帯・場所・方法の有効性を検証した上で、周辺三罪も含めた効果的な取締りを推進するとしています。妨害運転については、車間距離不保持等の重大な交通事故につながり得る交通違反に対する取締りを強化するとしています。
自転車指導啓発重点地区・路線を中心に、指導警告を行うことを原則としつつ、悪質・危険な交通違反に対しては検挙を行う、という基本的な考え方が示されています。
飲酒運転や信号無視等の悪質・危険な違反行為のほか、通行区分違反や横断歩行者等妨害等、歩行者に危険を及ぼすおそれの高い違反行為に重点を置いて取締りを推進するとしています。
速度・歩行者妨害・ながらスマホ・飲酒運転という、日常的に問題になる違反がそのまま並んでいます。それぞれの反則金や違反点数は違反の種類で個別に扱っています。
「運動期間だから反則金が上がる」ということはない
運動期間になると「この時期は取り締まりが厳しいので反則金も高い」といった説明を見かけることがありますが、法令上そのようなしくみはありません。
反則金の額は道路交通法施行令の別表第六、違反点数は別表第二で定められています。道路交通法と施行令の条文を通して見ても、交通安全運動の期間に応じて金額や点数を加減するという規定は置かれていません。「交通安全運動」という語自体、どちらの法令にも出てきません。
ポイント:期間中に変わり得るのは、どこで・何を重点に取締りが行われるかであって、違反したときの反則金や点数ではありません。
変わるのは警察の活動の配分です。通達が「歩行者が関係する交通事故の発生時間帯・発生場所を重点に」と指示しているとおり、重点に沿った場所と時間帯に人員と装備が寄せられます。夕暮れ時の生活道路や横断歩道の周辺は、その典型ということになります。
9月1日の生活道路30km/hと重なっている
2026年の秋の運動には、もう一つの事情が重なっていました。生活道路の法定速度が30km/hになる改正(令和6年政令第248号)の施行日が2026年9月1日で、運動の開始はその20日後だからです。
通達は歩行者の重点の中で、この改正について広報啓発を推進することを明記しています。推進要綱も【趣旨】の中で、中央線等がない生活道路の法定速度を引き下げる改正は国民生活に大きく関わるものであることから、十分な広報啓発が必要だとしています。さらに通達は「生活道路は人が優先」という意識を浸透させるための広報啓発と、道路管理者と連携した「ゾーン30プラス」の整備推進にも触れています。
施行直後の道路で、可搬式速度違反自動取締装置を活用した生活道路等での取締り強化が指示されている、という関係になります。中央線の無い道路を通る機会が多い場合は、9月1日以降の法定速度が変わっていることと合わせて意識しておきたいところです。
自転車には青切符が導入された後で迎える秋の運動
自転車の重点には、2026年4月1日から16歳以上の自転車利用者の一定の交通違反に交通反則通告制度(いわゆる青切符)が導入されたことが背景として置かれています。通達は、この導入を踏まえて「自転車安全利用五則」などを活用した交通安全教育を推進するとしています。
取締りの方針としては、指導警告を原則としつつ悪質・危険な違反には検挙を行う、という考え方が改めて示されています。青切符の導入で運用が一変したわけではなく、重点地区・路線を中心とした指導警告が基本線であることが読み取れます。
なお通達は、2026年4月1日から施行された自動車等と自転車等の側方接触を防止するための義務(令和6年法律第34号)についての指導・周知にも触れています。自動車の側から見ると、自転車の側方を通過するときの間隔も重点期間中の指導対象に含まれることになります。
都道府県ごとの「地域重点」もある
推進要綱第5の2は、都道府県の交通対策協議会等が、全国重点のほかに地域の交通事故実態等に即して必要があるときは地域の重点を定めることができるとしています。通達も、地域の実情に応じた取組を推進するよう求めています。
したがって、実際に何が重点的に指導・取り締まられるかは地域によって差が出ます。お住まいの地域の重点は、都道府県警察や交通安全協会の告知で確認できます。
通達は最後に、下記に示すものは交通警察として継続的に取り組むべきものであるため、期間終了後も取組を推進するようにと付け加えています。10日間だけの話ではない、という位置づけです。
見かけた取り締まりを共有して、みんなの注意喚起に。
よくある質問
2026年9月21日(月)から9月30日(水)までの10日間です。令和8年7月1日の中央交通安全対策会議交通対策本部決定「令和8年秋の全国交通安全運動推進要綱」第2で定められています。あわせて9月30日(水)が「交通事故死ゼロを目指す日」とされています。
3つです。〈歩行者〉歩行者の安全確保と反射材用品の着用促進、〈自動車〉夕暮れ時の早めのライト点灯と飲酒運転や「ながらスマホ」の根絶、〈自転車〉自転車・特定小型原動機付自転車の交通ルールの理解・遵守の徹底、と推進要綱第5に掲げられています。
警察庁の通達は、可搬式速度違反自動取締装置を活用するなどした生活道路等での取締りの強化、携帯電話使用等(ながらスマホ)に対する効果的な取締り、周辺三罪も含めた飲酒運転の取締り、車間距離不保持等の妨害運転につながり得る違反の取締り強化を指示しています。特定小型原動機付自転車については、飲酒運転や信号無視等のほか、通行区分違反や横断歩行者等妨害等、歩行者に危険を及ぼすおそれの高い違反に重点を置くとしています。
高くなりません。反則金の額は道路交通法施行令の別表第六、違反点数は別表第二で定められており、交通安全運動の期間に応じて変わるという規定は道路交通法にも施行令にもありません。変わり得るのは、どこで・何を重点に指導取締りが行われるかです。
違うことがあります。推進要綱第5は、都道府県の交通対策協議会等が全国重点のほかに地域の交通事故実態等に即して「地域重点」を定めることができるとしています。また通達も、地域の実情に応じた取組を推進するよう求めています。お住まいの地域の重点は、都道府県警察や交通安全協会の告知で確認できます。
警察庁交通局「令和8年秋の全国交通安全運動期間中の交通事故発生状況」(2026年10月2日公表)によれば、運動期間中(2026年9月21日から30日まで)の交通事故件数は6,908件、死者数は77人、負傷者数は8,211人でした。前年同期(2025年9月21日から30日まで)と比べて、件数は8.0%、死者数は3.8%(3人)、負傷者数は7.2%それぞれ減っています。交通事故件数と負傷者数は速報値で、後日修正されることがあります。
警察庁交通局「令和7年秋の全国交通安全運動期間中の交通事故発生状況」(2025年10月2日公表)によれば、令和7年秋の運動期間中(2025年9月21日から30日まで)の交通事故件数は7,506件、死者数は80人、負傷者数は8,850人でした。前年同期(2024年9月21日から30日まで)と比べて、件数は5.9%、死者数は8.1%、負傷者数は4.4%それぞれ増えています。いずれも速報値で、後日修正されることがあります。
出ています。「交通事故死ゼロを目指す日」は目標として設けられた日で、実績を表すものではありません。2026年9月30日には交通死亡事故が7件発生し、7人が亡くなっています(前年の2025年9月30日も7件7人)。警察庁の同じ資料には2008年(平成20年)以降のこの日の実績が並んでいますが、死亡事故が0件だった日はまだありません(最も少なかったのは2021年4月10日の1件1人)。
警察庁交通局「令和8年秋の全国交通安全運動を見据えた交通事故分析について」(2026年9月10日公表)によれば、令和3年から7年までの5年間の月別平均の交通事故死者数は、2月の185人が最も少なく、10月253人・11月251人・12月288人と秋から年末にかけて増えています。状態別に見ると3月から9月は自動車乗車中の死者が最も多いのに対し、10月以降は歩行中が最も多くなります。夕暮れ時(日の入り時刻の前後1時間)の死亡事故も、5年間の合計で7〜9月の348件に対して10〜12月は589件と約1.7倍でした。
走行予定エリアを事前に確認し、速度が出やすい地点や歩行者の多い場所を「気をつけよう」という意識づけにご活用ください。取り締まりの回避を目的としたものではありません。
都道府県別の取り締まりデータ
道路交通法違反の検挙件数(人口千人当たり・2023年度)は都道府県で差があります。全国平均は 36.1件。
47都道府県のランキングを見る本記事は安全運転の注意喚起を目的とした一般的な情報提供です。取り締まりの回避を勧めるものではありません。最新かつ正確な情報は、警察庁・各都道府県警察などの公式情報をご確認ください。