2026年4月1日から、16歳以上の自転車などの運転者が一定の違反をしたときに、青切符(交通反則通告制度)で処理されるようになりました。根拠は2024年5月24日に公布された道路交通法の一部を改正する法律(令和6年法律第34号)です。
「自転車も厳罰化された」と受け止められがちですが、警察庁が公表している資料を読むと、挙げられている目的は別のところにあります。ここでは制度の中身と、導入後1か月に実際に何が起きたのかを整理します。
何が変わったのか
改正法の要綱は、対象を次のように定めています。第八章の罪に当たる行為のうち別表第二の上欄に掲げるものであって、重被牽引車以外の軽車両の運転者(16歳未満の者を除く)がしたものを、反則行為とする——というものです。
16歳未満の運転者は制度の対象外です。従来どおり指導警告が中心になります。
自転車だけの制度ではありません。重被牽引車を除く軽車両の運転者が対象です。
警察庁の資料は「飲酒運転、無免許運転など、特に悪質な違反は制度の対象外」と明記しています。これらは従来どおり刑事手続で処理されます。
警察庁の資料は、反則金の納付は「任意」であり、納付しないことによって刑事手続による処理を選択することができる、と説明しています。
目的は「厳罰化」ではなく手続の合理化
警察庁が公表している改正法の概要は、この制度を導入する理由をこう書いています。自転車の検挙件数が増加するなかで、現行の違反処理(刑事手続)では、取締り現場での長時間の手続や後日の出頭が必要で、前科が付く可能性がある——だから一定の違反行為を交通反則通告制度の対象とし、「合理化を図る」というものです。
ポイント:警察庁の資料に「厳罰化」という言葉は出てきません。挙げられている目的は、定型的な違反を反則金で処理できるようにする「合理化」です。
これは、自動車や原動機付自転車が以前から青切符で処理されてきたのと同じ扱いに揃えた、ということでもあります。裏を返せば、反則金を納めれば刑事手続には進まず、前科は付きません。
導入後1か月に実際に起きたこと
警察庁は2026年5月14日に、導入後1か月間の運用状況を公表しました。数値はいずれも暫定値で、導入後1か月間(2026年4月)時点のものです。
※ 導入後1か月間(2026年4月)の暫定値です。「令和7年中の同一違反種別の検挙件数・月平均」は、警察庁が比較対象として資料に併記しているもので、今回から青切符対象となった違反種別に限った数値です。指導警告票の交付数について、警察庁は「増加」としています。詳細は必ず公式情報をご確認ください。
注目すべきは、青切符の告知件数(2,147件)が、警察庁自身が参考として併記した従来の検挙件数の月平均(4,268件)を下回っていることです。制度が始まって処理が厳しくなったのなら増えるはずのところが、およそ半分になっています。
一方で、指導警告票の交付数は135,855件で、警察庁はこれを「増加」としています。つまり、この1か月に現場で実際に増えたのは青切符ではなく、指導警告のほうでした。
青切符の内訳は次のとおりです。
※ 導入後1か月間(2026年4月)の暫定値です。割合は警察庁の資料に記載されているものです。詳細は必ず公式情報をご確認ください。
上位2つ(一時不停止と携帯電話使用)で7割を超えます。信号無視と合わせると9割近くになり、青切符が使われている場面はかなり限られていることが読み取れます。
指導警告が原則という方針
この運用は、方針としても文書に書かれています。警察庁の令和8年度交通安全業務計画は、自転車の指導取締りについて、自転車指導啓発重点地区・路線を中心に「指導警告を行うことを原則とし、悪質・危険な交通違反に対しては検挙措置を講じる」と定めています。
さらに、飲酒運転等の重大な違反や、実際に交通事故の発生原因となった違反に対しては、交通切符(いわゆる「赤切符」)等を活用した検挙措置を講じる、とされています。
ポイント:青切符は「原則」ではありません。原則は指導警告で、青切符はその次、赤切符はさらに悪質・危険な場合、という組み立てになっています。
反則金の額
反則金は、警察庁が反則行為の一覧を公表しています。額は反則行為によって異なり、3,000円から12,000円の幅があります。青切符の内訳で上位に来ている違反では、携帯電話使用等(保持)が12,000円、信号無視が6,000円(点滅信号を無視した場合は5,000円)です。
違反ごとの詳しい内容と反則金の目安は、それぞれの記事にまとめています。
青切符の内訳で最も多い違反です。「止まれ」での停止義務と、出会い頭事故が起きやすい場所については自転車の一時不停止の記事をご覧ください。
車両用と歩行者用のどちらの信号に従うかを含め、自転車の信号無視の記事にまとめています。
自転車の携帯電話使用は2024年11月に罰則が強化されており、青切符の導入とは別の改正です。自転車のながらスマホの記事をご覧ください。
自転車に乗る人が気をつけること
制度の目的が合理化であっても、違反が違反でなくなったわけではありません。むしろ、これまで現場の手間から見送られていた場面でも処理できるようになった、という見方もできます。
導入後1か月の内訳が示しているのは、一時停止・携帯電話・信号という、いずれも基本的なルールで青切符の9割が占められているということです。裏を返せば、この3つを守っていれば青切符に当たる場面はほとんどないことになります。
見かけた取り締まりを共有して、みんなの注意喚起に。
よくある質問
16歳以上です。警察庁の資料は、対象を「自転車等の運転者(十六歳未満の者を除く。)」と説明しています。16歳未満の運転者は制度の対象外で、従来どおり指導警告が中心になります。
警察庁の資料が制度の目的として挙げているのは「合理化」です。従来の刑事手続では取締り現場での長時間の手続や後日の出頭が必要で、前科が付く可能性もあったため、定型的な違反を反則金で処理できるようにしたと説明されています。導入後1か月間(2026年4月)の青切符の告知は2,147件で、警察庁が比較対象として示した令和7年中の同一違反種別の検挙件数の月平均4,268件を下回りました。
警察庁の資料は、反則金の納付は「任意」であり、納付しないことによって刑事手続による処理を選択することができる、と説明しています。反則金を納めれば手続はそこで終わります。
なりません。警察庁の資料は「飲酒運転、無免許運転など、特に悪質な違反は制度の対象外」と明記しています。これらは従来どおり刑事手続で処理されます。
走行予定エリアを事前に確認し、注意したい地点を「気をつけよう」という意識づけにご活用ください。取り締まりの回避を目的としたものではありません。
本記事は安全運転の注意喚起を目的とした一般的な情報提供です。取り締まりの回避を勧めるものではありません。最新かつ正確な情報は、警察庁・各都道府県警察などの公式情報をご確認ください。