通行区分違反違反の種類

通行区分違反とは?はみ出し・右側通行と反則金・違反点数

「はみ出しは常に違反」と思っていませんか。道路交通法は、はみ出して通行できる場合を5つ挙げています。通行区分違反の内容と反則金・点数の目安、そしてはみ出しがなぜ危ないのかを整理します。

取り締まりマップ編集部安全運転支援チーム
公開:2026.07.177分で読めます
カーブで道路の左側部分を通行する車と、中央線をはみ出している車を対比し、マスコットのトラくんを添えたイラスト

通行区分違反は、車両が道路のどこを通るべきかを定めた道路交通法第17条に対する違反です。中央線をはみ出す、右側部分を走るといった行為がまず思い浮かびますが、条文が扱う範囲はもう少し広く、また「はみ出しは常に違反」と言い切れるわけでもありません。ここでは条文の組み立てと反則金・点数の目安、そしてはみ出しが招く事故の形を整理します。

通行区分違反とは

道路交通法第17条は「通行区分」という見出しのもとで、車両が道路のどの部分を通るべきかを定めています。交通反則通告制度上の反則行為名「通行区分違反」が指すのは、このうち第1項から第4項まで、又は第6項に違反した場合です。第5項は含まれません。それぞれの項が扱う場面は次のとおりです。

  • 第1項 — 歩道等と車道の区別がある道路では、車道を通行しなければなりません。道路外の施設に出入りするためやむを得ず歩道等を横断するときなどは、ただし書きで認められています。
  • 第2項 — 第1項ただし書きにあたる場合は、歩道等に入る直前で一時停止し、歩行者の通行を妨げないこととされています。徐行ではなく一時停止が求められている点に注意が必要です。
  • 第3項 — 自転車道を通行できるのは、特定小型原動機付自転車、二輪又は三輪の自転車、そのほか内閣府令で定める基準に当てはまる車両(いずれも側車付きのものと、他の車両を牽引しているものを除きます)に限られます。こちらも、道路外の施設に出入りするためやむを得ないときの横断はただし書きで認められています。
  • 第4項 — 道路の中央から左の部分(左側部分)を通行しなければなりません。はみ出しや右側通行が問題になるのは、この項です。
  • 第6項 — 安全地帯や、道路標識等により車両の通行の用に供しない部分と表示されている部分に入ってはならないとされています。

このうち第4項は、妨害運転(あおり運転)の罪の類型のひとつにも挙げられています(第117条の2の2第1項第8号イ)。他の車両等の通行を妨害する目的で、交通の危険を生じさせるおそれのある方法で行われた場合の話で、第17条のほかの項はこの類型には入っていません。

ポイント:「はみ出しは常に違反」ではありません。道路交通法は、はみ出して通行できる場合を5つ挙げています。ただし一方通行の場合を除き、はみ出し方はできるだけ少なくすることが求められます。

反則金・違反点数の目安

通行区分違反に対する反則金・違反点数の目安は次のとおりです。

車種反則金違反点数
大型車12,000円2点
普通車9,000円2点
二輪車7,000円2点
原付6,000円2点

※ 金額・点数は一例です。反則金は交通反則通告制度に基づくもので、違反の態様や最新の法令により異なります。この違反には刑事罰として3月以下の拘禁刑又は5万円以下の罰金も定められています。「拘禁刑」は2025年6月に懲役・禁錮を一本化した刑です。詳細は必ず公式情報をご確認ください。

ほかの違反の反則金や点数は、交通違反の反則金一覧交通違反の点数一覧にまとめています。

はみ出してよい場合がある

第17条第4項は左側部分を通行することを義務づけていますが、続く第5項は、右側部分にはみ出して通行できる場合を5つ挙げています。

一方通行、左側部分の幅員不足、障害、左側部分6メートル未満の道路での追越し、勾配の急な道路のまがりかど付近の指定という、はみ出して通行できる5つの場合を並べた図
図:はみ出して通行できる5つの場合
  1. 当該道路が一方通行となっているとき(第1号)
  2. 左側部分の幅員が、その車両の通行のために十分でないとき(第2号)
  3. 道路の損壊、道路工事その他の障害のため、左側部分を通行できないとき(第3号)
  4. 左側部分の幅員が6メートルに満たない道路で、他の車両を追い越そうとするとき(第4号)
  5. 勾配の急な道路のまがりかど附近について、道路標識等により通行の方法が指定されている場合に、その指定に従って通行するとき(第5号)

第4号には条件が付いています。右側部分を見とおすことができ、かつ反対方向からの交通を妨げるおそれがない場合に限られ、また道路標識等により追越しのため右側部分にはみ出して通行することが禁止されている場合は除かれます。中央に引かれた黄色の実線(「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」を表す規制標示)などがこれにあたり、引かれていれば第4号の例外は働きません。

見落とされやすいのは、その手前にある「左側部分の幅員が6メートルに満たない道路」という要件のほうです。左側部分が6メートル以上ある道路では、そもそも第4号にあたらないため、線の色に関係なくはみ出しての追越しはできないことになります。「黄色い線がなければはみ出して追い越せる」という理解は正確ではありません。はみ出して通行できないのは線が禁じているからではなく、第4項の義務が残っているからだと考えると、整理しやすくなります。

第5項は「はみ出してはならない」という禁止規定ではなく、第4項の義務に例外を認める規定で、第5項そのものに罰則は定められていません。ただし第1号(一方通行)の場合を除き、そのはみ出し方ができるだけ少なくなるようにしなければならないとされています。はみ出せる場面であっても、対向車線を広く使ってよいという意味ではありません。

はみ出しと正面衝突

はみ出しや右側通行が問題になるのは、対向車と正面からぶつかる形の事故に直結するためです。警察庁の統計では、令和6年中に一般原付以上の運転者が第1当事者となった死亡事故2,325件のうち、通行区分違反によるものは109件でした。そのうち98件(89.9%)が正面衝突です。件数そのものは多くないものの、起きたときに正面衝突になる割合が際立って高い違反だと言えます。

正面衝突がどこで起きているかは、全死亡事故2,598件を母数とする別の統計から見えてきます。令和6年中の正面衝突252件のうち、229件(90.9%)は単路で起きています(内訳はカーブ・屈折が119件・47.2%、一般単路が87件・34.5%、トンネルが14件・5.6%、橋が9件・3.6%)。単路の中ではカーブ・屈折が最も多くなっています。逆にカーブ・屈折で起きた死亡事故389件の側から見ると、その119件(30.6%)が正面衝突で、カーブ・屈折における最も多い事故類型となっています。

正面衝突そのものも増加が続いています(令和4年215件、令和5年222件、令和6年252件。いずれも全死亡事故を母数とする系統の数字です)。見通しのきかないカーブほど、左側部分を保つ意識が事故を防ぐことにつながります。

似た名前の違反との違い

「通行区分違反」とよく似た名前の反則行為に「指定通行区分違反」があります。こちらは、車両通行帯の設けられた道路で、道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているときに、その区分に従わなかった場合の違反で、根拠は道路交通法第35条第1項です。路面に描かれた矢印の道路標示がよく知られていますが、条文は「道路標識等」としており、標示によるものに限られません。直進の矢印しかないレーンから右折する、といった場面が典型です。

名前は2字違うだけですが、根拠となる条文も反則金の区分も別です。通行区分違反の違反点数が2点であるのに対し、指定通行区分違反は1点で、普通車の反則金は6,000円が目安とされています。「道路のどちら側・どの部分を通るか」が通行区分違反、「指定された通行区分に従うか」が指定通行区分違反、と分けて覚えておくと混同しにくくなります。

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よくある質問

道路交通法は車両が道路の左側部分を通行することを原則としていますが、はみ出して通行できる場合を5つ挙げています。一方通行のとき、左側部分の幅が足りないとき、工事などの障害があるとき、左側部分の幅が6メートル未満の道路で追い越そうとするとき、勾配の急な道路のまがりかど付近で通行の方法が指定されているときです。一方通行の場合を除き、はみ出し方はできるだけ少なくすることが求められます。

中央に引かれた黄色の線は「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」を表す道路標示です。車両は道路の左側部分を通行するのが原則で、その例外のひとつに、左側部分の幅が6メートル未満の道路で追い越そうとするときのはみ出しがあります。この黄色の線がある場所では、その例外が認められないとされています。はみ出さずに追い越すことまでを禁じるものではありません。

別の違反です。通行区分違反は道路のどの部分・どちら側を通るかについての違反で、違反点数は2点とされています。指定通行区分違反は、車両通行帯の設けられた道路で、道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているときに、その区分に従わない違反で、違反点数は1点とされています。路面の矢印の道路標示が代表的ですが、標示によるものに限られません。名前は似ていますが、根拠となる条文も反則金の区分も異なります。

走行予定エリアを事前に確認し、見通しの悪いカーブなどで「はみ出さない」という意識づけにご活用ください。取り締まりの回避を目的としたものではありません。

本記事は安全運転の注意喚起を目的とした一般的な情報提供です。取り締まりの回避を勧めるものではありません。最新かつ正確な情報は、警察庁・各都道府県警察などの公式情報をご確認ください。