進路変更禁止違反違反の種類

進路変更禁止違反とは?黄色の線をこえる進路変更と反則金・点数

「みだりに進路を変更してはならない」という条文には、実は罰則がありません。切符の対象になるのは別の2つです。進路変更禁止違反の内容と反則金・点数の目安を整理します。

取り締まりマップ編集部安全運転支援チーム
公開:2026.07.178分で読めます
車両通行帯を区画する黄色の線をこえて進路変更しようとしている車と、マスコットのトラくんを描いたイラスト

進路変更禁止違反は、進路の変更について定めた道路交通法第26条の2に対する違反です。よく知られた「みだりに進路を変更してはならない」という一文は、この条文の第1項にあたります。ところが、切符の対象になるのはこの項ではありません。ここでは3つの項からなる条文の組み立てと反則金・点数の目安、そして黄色の線が何を意味するのかを整理します。

進路変更禁止違反とは

道路交通法第26条の2は「進路の変更の禁止」という見出しのもとで、進路を変更してはならない場合を定めています。条文は3つの項からなりますが、交通反則通告制度上の反則行為名「進路変更禁止違反」が指すのは、このうち第2項又は第3項に違反した場合です。第1項は含まれません。それぞれの項が扱う場面は次のとおりです。

  • 第1項 — 「車両は、みだりにその進路を変更してはならない」とされています。進路の変更全般についての一般的な定めです。
  • 第2項 — 進路を変更した場合に、その変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならないとされています。後方から来る車の前に入る、いわゆる割り込みが問題になるのはこの項です。
  • 第3項 — 車両通行帯を通行している場合に、その車両通行帯が当該車両通行帯を通行している車両の進路の変更の禁止を表示する道路標示によって区画されているときは、一定の場合を除き、その道路標示をこえて進路を変更してはならないとされています。「黄色の線」と呼ばれるものです。

ポイント:「みだりに進路を変更してはならない」(第1項)には罰則がありません。切符の対象になるのは、後方の車の速度又は方向を急に変更させるおそれがあるとき(第2項)と、黄色の線をこえるとき(第3項)の2つです。

反則金・違反点数の目安

進路変更禁止違反に対する反則金・違反点数の目安は次のとおりです。

車種反則金違反点数
大型車7,000円1点
普通車6,000円1点
二輪車6,000円1点
原付5,000円1点

※ 金額・点数は一例です。反則金は交通反則通告制度に基づくもので、違反の態様や最新の法令により異なります。この違反には刑事罰として5万円以下の罰金も定められており、黄色の線をこえる進路変更は過失(うっかり)による場合も罰金の対象となることがあります。詳細は必ず公式情報をご確認ください。

ほかの違反の反則金や点数は、交通違反の反則金一覧交通違反の点数一覧にまとめています。

罰則があるのはどの進路変更か

3つの項は並んでいますが、罰則の扱いまで同じというわけではありません。

道路交通法第26条の2の第1項・第2項・第3項を3段に並べ、第1項には罰則がなく、第2項と第3項には罰則があることを対比した図
図:道路交通法第26条の2の三段構え

まず第1項の「車両は、みだりにその進路を変更してはならない」には、罰則が定められていません。道路交通法の罰則の条文の中に、この項を引くものがないためです。守らなくてよいという意味ではありませんが、条文の構造としては、この項だけを理由に切符が切られることはないことになります。反則行為名「進路変更禁止違反」の範囲が第2項又は第3項とされているのも、これと重なります。

罰則があるのは第2項と第3項です。どちらも刑事罰として5万円以下の罰金が定められています。反則金も違反点数も、上の表のとおり同じです。

違いが出るのは、まず過失(うっかり)の扱いです。黄色の線をこえる進路変更(第3項)は、過失による場合も罰金の対象となることがあるとされています。一方、後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させるおそれがあるときの進路変更(第2項)には、この定めがありません。注意したいのは、これが第3項に限った話だという点です。「進路変更禁止違反はうっかりでも罰金の対象になる」と一般化することはできません。

なお、「割り込み」と呼ばれる行為のすべてが第26条の2で扱われるわけではありません。信号待ちの車列のように、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するために停止し、若しくは停止しようとして徐行している車両等又はこれらに続いて停止し、若しくは徐行している車両等に追いついたときに、その前方にある車両等の側方を通過して前方に割り込んだり、その前方を横切ったりすることは、第32条が別に禁止しています。反則行為名も「割込み等」という別のもので、反則金・違反点数の目安は進路変更禁止違反と同じですが、根拠となる条文は異なります。

黄色の線と白い破線

第3項が「進路の変更の禁止を表示する道路標示」と呼んでいるのは、規制標示の「進路変更禁止」です。色は黄、線種は実線とされています。車両通行帯の境界に引かれた黄色の実線は、その線をこえる進路変更が禁止されていることを示しています。

紛らわしいのが、道路の中央に引かれた黄色の線です。こちらは「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」という別の規制標示で、追越しのために対向車線側へはみ出すことを禁じるものです。両者は色でも線種でも区別できません。どちらも黄色の実線です。違うのは引かれる位置だけで、中央線の位置にあるもの、つまり対向する交通との境にあるものが「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」、同じ方向へ進む車両通行帯どうしの境界にあるものが「進路変更禁止」です。

一方、白い線には進路変更を禁止する意味はありません。車両通行帯を区画する白い線も、車線の境界を示す白い線も、実線であるか破線であるかにかかわらず、第3項がいう「進路の変更の禁止を表示する道路標示」には当たらないとされています。

ただし、白い線であれば進路を自由に変えてよい、ということにはなりません。第2項は道路標示の有無にかかわらず働きます。後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、線が引かれていなくても、また白い線であっても、進路を変更してはならないとされています。線を見て判断するのではなく、後方から来る車を見て判断する、ということです。

第3項は、車両通行帯を通行している場合の規定です。進路変更禁止の標示は、車両通行帯が設けられた道路の、その車両通行帯の境界に引かれるものとされています。もっとも、進路の変更を禁止しているのは黄色の線のほうですから、運転する側が白い線を見分ける必要はありません。黄色の線が引かれているかどうかを見れば足ります。

なお、第3項には除外もあります。緊急自動車が接近してきたため第40条(緊急自動車の優先)の規定により道路の左側(一方通行の道路では右側になることがあります)に寄るときや、道路の損壊、道路工事その他の障害のためその通行している車両通行帯を通行することができないときは、黄色の線をこえて進路を変更することが認められています(第1号)。そうした事情で通行することができなかった車両通行帯を、通行の区分に関する規定に従って通行しようとするとき、つまりもとの車両通行帯に戻るときも同じです(第2号)。

妨害目的があるとどうなるか

進路変更禁止違反として切符が切られる場合の反則金・違反点数は、上の表のとおりです。ただし、同じ進路変更でも、他の車の通行を妨害する目的で行われた場合には、別の罪の類型として扱われることがあります。

第26条の2のうち第2項の規定の違反となるような行為は、妨害運転(あおり運転)の罪の類型のひとつに挙げられています(第117条の2の2第1項第8号ホ)。ただし、妨害する目的があれば直ちにこの罪になる、というものではありません。条文は、他の車両等の通行を妨害する目的で、掲げられた行為のいずれかを、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法で行った場合、という組み立てになっています。妨害する目的があること、掲げられた行為に当たること、そして交通の危険を生じさせるおそれのある方法によること。この3つがそろって初めて対象になります。

一方、黄色の線をこえる進路変更(第3項)は、この類型には入っていません。妨害する目的があったとしても、第3項の違反そのものがこの罪に問われることはないことになります。同じ「進路変更禁止違反」でも、後方の車に対してどう進路を変えたかを定める項と、標示をこえたかどうかを定める項とで、扱いが分かれています。

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よくある質問

道路交通法第26条の2第1項は「車両は、みだりにその進路を変更してはならない」と定めていますが、この項には罰則がありません。反則行為として切符の対象になるのは第2項と第3項で、第1項は含まれません。

2つあります。ひとつは、変更後の進路を後方から進行してくる車両の速度や方向を急に変更させるおそれがあるときの進路変更(第2項)。もうひとつは、進路変更禁止を表示する道路標示、いわゆる黄色の線をこえる進路変更(第3項)です。

別の道路標示です。どちらも黄色の実線で見た目では区別できず、違うのは引かれる位置だけです。中央線の位置にあるものは「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」、車両通行帯の境界にあるものが「進路変更禁止」です。

走行予定エリアを事前に確認し、車線の多い道路での「急な割り込みをしない」という意識づけにご活用ください。取り締まりの回避を目的としたものではありません。

本記事は安全運転の注意喚起を目的とした一般的な情報提供です。取り締まりの回避を勧めるものではありません。最新かつ正確な情報は、警察庁・各都道府県警察などの公式情報をご確認ください。