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高速道路の法定速度は車種で3段階——大型トラック90km/h・トレーラ80km/hの根拠

「高速道路は100km/h」と受け止められがちですが、道路交通法施行令が定める法定速度は車種によって3段階に分かれています。2024年4月1日から大型貨物自動車等が90km/hになり、トレーラは80km/hのまま据え置かれました。どこで線が引かれているのかを施行令第27条の原文で確かめ、なぜその線になったのかを警察庁の有識者検討会が2023年12月に取りまとめた提言で確認します。

取り締まりマップ編集部安全運転支援チーム
公開:2026.09.23約13分で読めます

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大型の貨物トラックと普通乗用車が並んで走る様子を描いた、マスコットのトラくんを添えたイラスト

高速道路の法定速度と聞いて100km/hを思い浮かべる方は多いと思います。ただ、道路交通法施行令が定めている速度は、車種によって3段階に分かれています。しかも、その段数が2段階から3段階に増えたのは2024年4月1日のことです。

ここでは、高速自動車国道の法定速度がどう分かれているのかを施行令第27条の原文で確かめ、大型貨物自動車等が90km/hに引き上げられた一方でトレーラが80km/hに据え置かれた理由を、警察庁の有識者検討会が2023年12月に取りまとめた提言で確認します。

高速自動車国道の法定速度は100・90・80の3段階

道路交通法施行令第27条第1項は、自動車が高速自動車国道の本線車道またはこれに接する加速車線・減速車線を通行する場合の最高速度を、次の3つに区分しています。

区分最高速度主な車種
第1号100km/h大型乗用自動車、中型乗用自動車、車両総重量8トン未満・最大積載重量5トン未満・乗車定員10人以下の中型貨物自動車、準中型自動車、普通自動車、大型自動二輪車、普通自動二輪車
第2号90km/h大型自動車のうち第1号イ以外のもの(大型貨物自動車)、中型自動車のうち第1号ロ以外のもの
第3号80km/h前2号以外の自動車(トレーラ、三輪の自動車、大型特殊自動車など)

※ 道路交通法施行令第27条第1項(2026年9月23日時点)の区分です。道路標識等により最高速度が指定されている区間では、標識の速度によります(道路交通法第22条第1項)。詳細は必ず公式情報をご確認ください。

条文が使っている車種の名称は、道路交通法第3条と道路交通法施行規則第2条の表で決まります。大型自動車は車両総重量11,000kg以上・最大積載量6,500kg以上または乗車定員30人以上、中型自動車は車両総重量7,500kg以上11,000kg未満・最大積載量4,500kg以上6,500kg未満または乗車定員11人以上29人以下のものです。

ポイント:第2号の90km/hは、大型自動車と中型自動車のうち「人を運ぶための構造ではないもの」、つまり貨物自動車の側を拾う区分です。同じ大型自動車でも、専ら人を運搬する構造のもの(大型バス)は第1号の100km/hに入ります。

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90km/hになったのは2024年4月1日から

この3段階は、もともとの姿ではありません。施行令第27条第1項を改正したのは道路交通法施行令の一部を改正する政令(令和6年政令第43号)で、2024年3月1日に公布され、同年4月1日から施行されています。

改正前の同項は2つの区分しかありませんでした。第1号に100km/hの車種を列挙し、第2号を「前号イからヘまでに掲げる自動車以外の自動車」として一律に80km/hとしていたため、大型貨物自動車も、中型貨物自動車の一部も、トレーラも、すべて同じ80km/hだったことになります。

改正後は第2号として90km/hの区分が差し込まれ、もとの80km/hは第3号に繰り下がりました。提言によれば、施行令第27条第1項は昭和38年に規定されて以降、昭和40年と平成12年に改正されており、大型貨物自動車等とトレーラ等については「当初から引き上げられることなく80キロメートル毎時とされている」状態が続いていました。60年ぶりに線が引き直された改正ということになります。

なお同政令の附則は、施行前にした違反行為に付する点数・罰則・反則行為の取扱いについては従前の例によるとしています。

90km/hとした根拠

引上げの検討は、警察庁が学識経験者や関係団体の専門家らを集めて開いた「高速道路における車種別の最高速度の在り方に関する有識者検討会」(座長・大口敬 東京大学生産技術研究所教授)で行われ、2023年12月22日の第4回会合で提言が取りまとめられました。

提言は、検討のきっかけを「物流革新に向けた政策パッケージ」(令和5年6月2日 我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議決定)に置いています。トラックドライバーの時間外労働の上限規制が2024年4月1日から適用されることに伴ういわゆる「物流2024年問題」への対策として、政策パッケージに「高速道路のトラック速度規制の引上げ」が盛り込まれたことが出発点です。

そのうえで提言は、大型貨物自動車等について、90km/hを上限とする速度抑制装置の装着義務を存置したうえで法定速度を90km/hに引き上げたとしても「高速道路の交通の安全に大きな影響をもたらすとは考えられない」と結論づけました。

根拠として挙げられているのは、交通実態調査を実施したほとんどの路線で90km/h近い実勢速度が確認されたこと、速度抑制装置をはじめとする安全装置の普及もあって交通事故件数等が長期減少傾向にあること、先進安全技術の進展・普及により事故発生リスクのさらなる軽減が期待できることです。提言の概要版では、実勢速度は大型トラックが87km/h、大型トレーラが84km/hと示されています。

速度抑制装置は、提言によれば平成15年に大型貨物自動車等への装着が義務付けられたもので、上限設定速度は90km/hです。提言は、欧州における速度抑制装置の上限設定速度も90km/hであること、製造事業者へのヒアリングで、大型トラックは90km/hを前提に設計されており90km/hまでは車両の安全性能を保証できるとの回答が得られたことを記しています。

ポイント:90km/hという数字は、車両に付いている速度抑制装置の上限設定速度と一致しています。装置の上限をそのままにしたうえで法定速度をそこに合わせた、という組み立てです。

一方で、90km/hを超える引上げについては「こうした速度における車両の安全性能が担保されていないこと、こうした速度で走行した場合の道路交通の安全にもたらす影響が検証されていないこと等を踏まえれば、現時点では不適切である」としています。将来の検討の可能性は排除していませんが、その場合も全路線一律ではなく道路交通環境の整った一部の路線・区間から試行的に緩和することなどを併せて検討するのが望ましい、という書き方です。

トレーラが80km/hのままである理由は条文の括弧書きにある

3段階のうち、どこに入るかを分けているのは条文の括弧書きです。施行令第27条第1項第1号のイとロは、大型自動車・中型自動車から次の2つを除いています。

三輪のもの並びに牽引するための構造及び装置を有し、かつ、牽引されるための構造及び装置を有する車両を牽引するもの

そして、この括弧書きには「次号において同じ」と付いています。つまり、同じ除外が90km/hの第2号にも及びます。第2号は「大型自動車のうち前号イに掲げるもの以外のもの及び中型自動車のうち同号ロに掲げるもの以外のもの」という書き方なので、括弧書きで最初から外されているトレーラと三輪の自動車は、第2号にも入りません。行き先は「前二号に掲げる自動車以外の自動車」を拾う第3号、すなわち80km/hです。

この括弧書きを落として「大型トラックは90km/h」とだけ覚えると、牽引中のトレーラの最高速度を取り違えることになります。

据え置きの理由について、提言はトレーラの車両特性を挙げています。複数の車両が連結されて走行する構造であり、単独で走行する一般の自動車と比べて進路変更を行う際の走行安定性が低いこと、その危険性は走行速度が高くなるほど顕著に現れることが、従来からの整理です。今回の検討でも、大型貨物自動車等や全車種と比較して交通事故件数等の減少割合が緩慢であること、80km/hよりも高い速度における車両の安全性能が担保されていないこと、安全装置の普及が十分でないと考えられることから、引上げを積極的に検討すべきとの結論には至らなかったとされています。

三輪の自動車と大型特殊自動車についても、提言の脚注に整理があります。三輪は三輪であることにより走行安定性が劣ること、大型特殊自動車はフォークリフトやホイールクレーン等の架装されている構造物があり走行安定性が低いことから、いずれも80km/hから引き上げることは適当でないという整理です。

トレーラには通行する車両通行帯についての決まりもあります。道路交通法第75条の8の2は、重被牽引車を牽引している牽引自動車について、車両通行帯の設けられた高速自動車国道の本線車道では左側端から数えて1番目の車両通行帯を通行しなければならないと定めています(標識等で通行の区分が指定されているときはその区分によります)。追越しなどのやむを得ない場合の例外は同条第4項にあります。

「高速道路なら100km/h」ではない

もう1つ、法定速度の100km/hは高速自動車国道の本線車道とこれに接する加速車線・減速車線に限られる、という点にも注意が必要です。

施行令第11条第1号は、高速自動車国道のうち本線車道等以外の部分、そして自動車専用道路を、一般道路として扱っています。ここでの法定速度は自動車が60km/hです。高速自動車国道ではない自動車専用道路は、名前に「高速道路」と付いていても、標識による指定がなければ60km/hということになります。

もっとも、実際の区間の最高速度を決めているのはほとんどの場合が標識です。道路交通法第22条第1項は次のように定めています。

車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。

法定速度は、標識による指定がない場合に適用される速度です。指定がある区間では標識の速度が基準になります。

一般道路の法定速度には、高速自動車国道のような車種による段階分けはありません。施行令第11条は自動車を60km/h、原動機付自転車を30km/hとしており、大型トラックも普通乗用車も同じ60km/hです。なお2026年9月1日からは、中央線や車両通行帯が設けられておらず構造上も往復の方向別に分離されていない一般道路について、法定速度が30km/hに引き下げられています。

高速道路での速度超過の点数と反則金

高速自動車国道等での速度超過は、違反点数が道路交通法施行令 別表第二、反則金が別表第六で定められています。超える速度の区分が一般道路と異なる点があります。

超える速度違反点数反則金(大型車)反則金(普通車)
15km/h 未満1点12,000円9,000円
15〜20km/h 未満1点15,000円12,000円
20〜25km/h 未満2点20,000円15,000円
25〜30km/h 未満3点25,000円18,000円
30〜35km/h 未満3点30,000円25,000円
35〜40km/h 未満3点40,000円35,000円
40〜50km/h 未満6点反則行為に当たらない反則行為に当たらない
50km/h 以上12点反則行為に当たらない反則行為に当たらない

※ 高速自動車国道等での速度超過について、違反点数は道路交通法施行令 別表第二、反則金は別表第六によります(いずれも2026年9月23日時点)。「大型車」は大型自動車・中型自動車・準中型自動車・大型特殊自動車等、「普通車」は普通自動車を指します(別表第六 備考三)。超える速度が40km/h以上のものは別表第六に区分がなく、反則行為に当たりません。この場合は道路交通法第118条第1項第1号により6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金の対象となります(過失の場合は同条第3項で3月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金)。「拘禁刑」は2025年6月に懲役・禁錮を一本化した刑です。詳細は必ず公式情報をご確認ください。

一般道路では超える速度が30km/h以上になると反則行為から外れますが、高速自動車国道等ではその境目が40km/hになります。別表第六の備考は「速度超過(高速三十五以上四十未満)」と「速度超過(高速三十以上三十五未満)」について、いずれも高速自動車国道等における行為に限ると定めており、この2区分が高速道路だけに置かれた区分です。

ほかの違反の反則金や点数は、交通違反の反則金一覧と交通違反の点数一覧にまとめています。

提言が同時に求めていたこと

提言は、引上げを進めるにあたって併せて実施されるべき方策も挙げています。読者の立場から見ても、覚えておく価値のある内容です。

1つは通行帯の使い方です。提言は、調査結果から大型貨物自動車等について「必ずしもキープレフトの原則が徹底されていない交通実態が確認された」としたうえで、この問題は大型貨物自動車等に限らず「周囲の車両よりもさほど高くない走行速度で追越し車線を走行する普通自動車等についても同様であろう」と述べています。

そして、法定速度を90km/hに引き上げると「車種ごとにその最高速度が3段階で異なり複雑化することとなる」ため、最高速度や通行帯に係る交通ルールのほか、自身の走行速度や周囲の交通状況を踏まえて走行する車線を選択するといった運転マナーを改めて周知徹底すべきだとしています。あわせて、いわゆる「リミッター外し」による大幅な速度超過等の悪質・危険な交通違反に対する取締りを強化すべきだとも書かれています。

もう1つは運行管理です。走行速度が高くなれば制動距離が延び、カーブ区間での事故増加も懸念されることから、車間距離の保持や走行安定性を欠く積載方法の防止といった対策を徹底すべきだとしています。さらに、最高速度を引き上げたことで「より早く積荷を目的地に運ばなければならないというプレッシャーが過度にトラックドライバーにかけられることがあってはならない」として、荷主を含む物流業界全体の意識にも言及しています。

まとめ

高速自動車国道の法定速度は、2024年4月1日から100km/h・90km/h・80km/hの3段階です。90km/hになったのは大型貨物自動車と一定の中型貨物自動車で、トレーラ・三輪の自動車・大型特殊自動車は80km/hのままです。そして、これらはいずれも標識による指定がない場合の速度で、指定がある区間では標識の速度が基準になります。

周囲を走る車の最高速度が自分と違うことがある、というのは、車間距離や追越しの判断に直結します。提言自身が「複雑化する」と認めた3段階です。走行中は標識を基準に、速度差のある車が混在していることを前提に、余裕を持った運転を心がけてください。

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よくある質問

高速自動車国道の本線車道とこれに接する加速車線・減速車線では、道路交通法施行令第27条第1項により車種で3段階に分かれています。大型乗用自動車・中型乗用自動車・準中型自動車・普通自動車・自動二輪車などが100km/h、大型貨物自動車と一定の中型貨物自動車が90km/h、それ以外(トレーラ、三輪の自動車、大型特殊自動車など)が80km/hです。ただし道路標識等で最高速度が指定されている区間では、標識の速度によります(道路交通法第22条第1項)。

2024年4月1日からです。道路交通法施行令の一部を改正する政令(令和6年政令第43号・2024年3月1日公布)が施行令第27条第1項に90km/hの区分を新設しました。改正前の同項は100km/hの車種とそれ以外の80km/hという2段階で、大型貨物自動車等も80km/hでした。

施行令第27条第1項第1号のイとロは、大型自動車・中型自動車から「三輪のもの」と「牽引するための構造及び装置を有し、かつ、牽引されるための構造及び装置を有する車両を牽引するもの」を括弧書きで除いており、この除外は「次号において同じ」として90km/hの第2号にも及びます。結果としてトレーラは第3号の80km/hになります。警察庁の有識者検討会の提言(令和5年12月)は、トレーラについて、大型貨物自動車等や全車種と比べて交通事故件数等の減少割合が緩慢であること、80km/hよりも高い速度における車両の安全性能が担保されていないこと、安全装置の普及が十分でないと考えられることを挙げ、引上げを積極的に検討すべきとの結論には至らなかったとしています。

法定速度ではなく、道路標識等による指定です。道路交通法第22条第1項は、最高速度が指定されている道路ではその速度を、その他の道路では政令で定める最高速度を超えてはならないと定めています。なお上記の提言は、取りまとめ時点(令和5年12月)で、普通自動車等については新東名高速道路等の一部区間で120km/hを上限とする規制が実施される一方、大型貨物自動車等およびトレーラ等については80km/hを上限とした規制が実施されていると記しています。区間ごと・車種ごとの指定内容は標識と道路管理者・都道府県警察の案内でご確認ください。

100km/hは高速自動車国道の本線車道等の法定速度です。高速自動車国道ではない自動車専用道路の法定速度は、施行令第11条第1号ロにより自動車は60km/hとされています。実際の区間の最高速度は標識による指定で決まるため、標識の速度を確認してください。

施行令 別表第六が定める反則金の区分は、高速自動車国道等での速度超過については「35km/h以上40km/h未満」が上限です。超える速度が40km/h以上になると反則行為に当たらなくなり、道路交通法第118条第1項第1号により6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金の対象として刑事手続で扱われます。一般道路では30km/h以上が同じ扱いになります。

AREA DATA

都道府県別の取り締まりデータ

道路交通法違反の検挙件数(人口千人当たり・2023年度)は都道府県で差があります。全国平均は 36.1件。

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本記事は安全運転の注意喚起を目的とした一般的な情報提供です。取り締まりの回避を勧めるものではありません。最新かつ正確な情報は、警察庁・各都道府県警察などの公式情報をご確認ください。