「すぐ近くのスーパーまでだから」——そう考えて、子どもを抱っこしたまま車に乗せていませんか。幼児用補助装置(チャイルドシート)の使用義務は距離や時間にかかわらず、6歳未満の幼児を車に乗せるすべての場面が対象です。一方で、法令には使用が免除されるケースもきちんと定められています。ここでは対象年齢と免除の考え方、反則金がなく点数のみになる仕組みを整理したうえで、警察庁と日本自動車連盟(JAF)が2026年5月に行った全国調査と警察庁の事故統計から、実際にどれくらい使われているのか、正しく使えているのか、使わないとどうなるのかを見ていきます。
幼児用補助装置使用義務違反とは
幼児用補助装置使用義務違反とは、6歳未満の幼児を自動車に乗せるときに、チャイルドシートなどの幼児用補助装置を使用しないまま走行させた場合に成立する違反です。対象は「6歳未満」、つまり5歳までの幼児です。6歳の誕生日を迎えると、法律上は幼児用補助装置ではなく座席ベルトの対象へと切り替わります。
この違反も座席ベルトと同じく、違反点数が加算されるのは子ども本人ではなく運転者です。車両の安全な運行に責任を持つのは運転者である、という考え方によるものです。
ポイント:対象は6歳未満。距離や時間は関係なく、点数は運転者に加算されます。
反則金・違反点数の目安
年齢による扱いの違いと、点数の目安は次のとおりです。
※ 幼児用補助装置使用義務違反は反則金の適用がなく、違反点数のみが運転者に加算されます。6歳以上の座席ベルトは席と道路の種類で扱いが変わり、一般道の後部座席は口頭注意にとどまるとされています(詳しくは座席ベルトの記事をご覧ください)。点数は一例で、最新の法令は必ず警察庁・各都道府県警察などの公式情報をご確認ください。
ほかの違反の反則金や点数は、交通違反の反則金一覧と交通違反の点数一覧にまとめています。
使用が免除される場合
法令には、やむを得ない事情があるときに使用義務が免除される規定(道路交通法施行令第26条の3の2)が置かれています。主なケースは次のとおりです。
※ 免除にあたるかどうかは状況により判断されます。表は主な例で、すべてを網羅したものではありません。判断に迷うときは必ず公式情報をご確認ください。
実際にどれくらい使われているか——警察庁・JAFの全国調査(2026年5月)
警察庁と日本自動車連盟(JAF)は毎年、チャイルドシートの使用状況を合同で調べています。2026年の調査は5月9日から31日にかけて全国99箇所で行われ、結果は2026年9月15日に「チャイルドシートの使用状況等について」として公表されました。自動車に乗っている6歳未満の子ども12,914人(車両10,202台)に聞き取りで確認したものです。
6歳未満全体の使用率は84.0%で、前回(2025年)の82.4%から1.6ポイント上がっています。同じ調査の2008年の使用率は50.2%だったので、18年で30ポイント以上上がってきた計算になります(2020年と2021年は新型コロナウイルス感染症の影響で調査が中止されています)。
年齢が上がるほど使われなくなる
| 年齢層 | 2026年の使用率 | 2025年の使用率 |
|---|---|---|
| 1歳未満 | 94.8% | 93.2% |
| 1〜4歳 | 86.9% | 84.8% |
| 5歳 | 65.7% | 66.7% |
| 6歳未満全体 | 84.0% | 82.4% |
※ 警察庁・JAF「チャイルドシート使用状況全国調査(2026)」の「使用状況調査結果(使用率の経年推移)」による。
1歳未満ではほぼ使われている一方で、5歳では3人に1人が使っていません。5歳は唯一、前回より使用率が下がった年齢層でもあります。使用義務の対象は6歳未満なので、5歳の子どもを乗せるときも使用義務があります。
使っていなかった子どもの内訳(5歳・2,462人中)は、車両の座席にそのまま座っていたのが14.8%、大人用のシートベルトをそのまま着けていたのが14.3%、チャイルドシートにそのまま座っていた(資料の区分では「チャイルドシートにそのまま着座」)のが4.8%、保護者の抱っこが0.4%でした。6歳未満全体(12,914人中)では、順に6.5%・3.4%・4.2%・1.9%です。大人用のシートベルトをそのまま着けている割合が、5歳では全体の3倍を超えています。
助手席に乗せた場合の使用率は68.6%
乗車位置別に見ると、後部座席に乗せた子ども11,436人の使用率は86.0%だったのに対し、助手席に乗せた子ども1,478人では68.6%でした。法令上、使用義務は座席の位置を問いません。
ポイント:使用義務は5歳まで・どの座席でも同じです。「もう大きいから」「助手席だから」で外れる規定はありません。
使っていても「正しく使えている」のは6割弱
同じ調査では、8都道府県16箇所で、チャイルドシートが車両に正しく取り付けられているか(434シート)と、子どもが正しく座らされているか(651人)も確認しています。
| 区分 | 適切に取り付けられていた割合 | 適切に着座していた割合 |
|---|---|---|
| 乳児用 | 83.8% | 59.0% |
| 幼児用 | 71.9% | 52.2% |
| 学童用 | (調査対象外) | 65.0% |
| 合計 | 77.6% | 58.7% |
※ 同調査の「取付け状況調査結果」「着座状況調査結果」による。取付け状況調査は乳児用・幼児用のみを対象としている。
取付けの誤りで最も多かったのは「腰ベルトの締付け不足」で、乳児用の誤りの47.4%、幼児用の57.5%を占めています。着座の誤りで最も多かったのは「ハーネスの締付け不適正」で、乳児用の52.1%、幼児用の47.9%でした。いずれも「載せてはいるが、しっかり締まっていない」という状態です。
使わないとどうなるか——警察庁の事故統計(令和7年中)
警察庁は、自動車に同乗中に死傷した6歳未満の幼児について、チャイルドシートの使用の有無を集計しています。令和7年(2025年)中に自動車同乗中に死傷した6歳未満の幼児2,874人(死者5人・負傷者2,869人)のうち、チャイルドシートを使用していたのは83.5%で、前年より2.5ポイント上がっています。
令和3年から7年までの5年間の合計で致死率(死傷者に占める死者の割合)を比べると、次のようになります。
| チャイルドシートの使用状況 | 死者数 | 死傷者数 | 致死率 |
|---|---|---|---|
| 適正使用 | 13人 | 12,200人 | 0.11% |
| 不適正使用 | 6人 | 430人 | 1.40% |
| 不使用 | 16人 | 2,846人 | 0.56% |
※ 警察庁「チャイルドシート関連統計(令和7年中)」の「自動車同乗中(6歳未満幼児)のチャイルドシート使用有無別致死率(令和3年〜令和7年合計)」による。「適正使用」はチャイルドシートが車両に適切に固定され、かつ幼児が適正に使用している場合、「不適正使用」は事故によりチャイルドシートがシートベルトから完全に分離した場合や幼児がチャイルドシートから飛び出した場合等をいう。倍率は小数点第3位以下も含めて算出されている。
不使用の致死率は適正使用の約5.3倍です。注目したいのは、不適正使用の致死率が不使用よりもさらに高いことです。取付けが甘くて事故の衝撃でシートごと外れたり、ハーネスが緩くて子どもが飛び出したりすると、使っていないのと変わらないどころか、より危険な結果になり得ることを示しています。先の全国調査で取付けの適切な割合が77.6%、着座が58.7%にとどまっていたことと合わせて読むと、「使っているかどうか」だけでなく「正しく使えているか」が大切だと分かります。
ポイント:「載せているから安心」ではなく、腰ベルトとハーネスがしっかり締まっているかを毎回確かめることが、統計の上でも意味を持ちます。
秋の全国交通安全運動(2026年9月21日〜30日)でも重点に
2026年9月21日から30日までの秋の全国交通安全運動では、全国重点〈自動車〉の推進項目のひとつとして「後部座席を含めた全ての座席のシートベルト着用とチャイルドシートの正しい使用の徹底」が推進要綱に掲げられています。具体的には、使用義務の周知、確実な取付方法や正しい着座方法の広報啓発、そして体格等の事情によりシートベルトを適切に着用させることができない6歳以上の子どもへのチャイルドシート使用に関する広報啓発です。警察庁が各都道府県警察に宛てた通達も、同じ趣旨の広報啓発と、行楽地等での運転者への啓発を進めるよう求めています。
推進要綱は、全国重点〈自動車〉を選んだ趣旨のなかで、後部座席のシートベルト着用率やチャイルドシートの使用率がいまだ低調で、チャイルドシートの使用率が年齢が上がるにつれて低下する傾向にあることを挙げ、シートベルト・チャイルドシートの適切な使用を促す必要があるとしています。上で見た5歳児の65.7%という数字は、まさにこの傾向にあたります。
6歳以上の子どもへの言及は、法律上の使用義務の話ではありません。使用義務は6歳未満で終わりますが、6歳になった日から急に体格が変わるわけではないため、座席ベルトが体に合わない子どもにはチャイルドシートを使い続けることを勧める、という広報上の位置づけです。運動期間は2026年9月30日で終わりますが、通達は、そこに示した取組を運動期間終了後も継続して推進するよう求めています。
なぜ使用が大切か
免除の規定があるのは、あくまで装着が物理的・状況的に難しい場面に配慮したものです。裏を返せば、それ以外の場面では補助装置が子どもの体を守る前提になっている、ということでもあります。
大人用の座席ベルトは、大人の体格に合わせて設計されています。体の小さな幼児がそのまま締めると、ベルトが首や腹部にかかってしまい、衝突時にかえって危険が生じることがあります。抱っこの場合も、衝突の強い衝撃を腕で支え続けることは難しいとされています。幼児用補助装置は、こうした体格差を埋めて衝撃を適切に分散させるためのものです。
6歳を過ぎた後も、座席ベルトが肩と腰に正しく当たるかどうかは体格によって変わります。年齢だけで区切らず、体に合っているかを確かめながら選ぶことが、子どもの安全につながります。
見かけた取り締まりを共有して、みんなの注意喚起に。
よくある質問
6歳未満(5歳まで)の幼児を乗せるときに使用義務があります。6歳の誕生日を迎えると法律上の使用義務はなくなりますが、座席ベルトが体格に合うまでは補助装置の使用を続けることも検討したい場面です。
幼児用補助装置使用義務違反は反則金の適用がなく、違反点数1点のみが運転者に加算されます。座席ベルト装着義務違反と同じ「点数のみ」の扱いです。
座席の構造上固定できない場合、乗車定員内で全員分を装着できない場合、負傷や障害により使用が適当でない場合、授乳などの世話をしている場合、バス・タクシー等に乗るときなど、やむを得ない理由があるときは免除されるとされています。該当するか分からないときは公式情報をご確認ください。(本記事は注意喚起を目的とした一般情報です)
警察庁と日本自動車連盟(JAF)が2026年5月9日から31日にかけて全国99箇所で行った「チャイルドシート使用状況全国調査(2026)」(2026年9月15日公表)によれば、自動車に乗っていた6歳未満の子ども12,914人のうちチャイルドシートを使用していたのは84.0%でした。年齢層別では1歳未満が94.8%、1〜4歳が86.9%、5歳が65.7%で、5歳では大人用のシートベルトをそのまま着けていた子どもが14.3%を占めています。
道路交通法上の使用義務は6歳未満の幼児が対象なので、6歳以上の子どもに使用義務はありません。ただし警察庁は、体格等の事情によりシートベルトを適切に着用させることができない6歳以上の子どもにもチャイルドシートの使用を促す広報啓発を進めるとしており、2026年9月21日から30日までの秋の全国交通安全運動の推進要綱にも同じ趣旨が盛り込まれています。年齢だけで区切らず、座席ベルトが体格に合っているかで判断することが勧められている、ということです。
正しく使えていることが前提です。警察庁の事故統計では、令和3年から7年までの5年間に自動車に同乗中に死傷した6歳未満の幼児のうち、チャイルドシートを適正に使用していた場合の致死率は0.11%、不使用の場合は0.56%(約5.3倍)でした。一方、事故の衝撃でチャイルドシートがシートベルトから分離したり、子どもがチャイルドシートから飛び出したりした「不適正使用」の致死率は1.40%と、不使用よりも高くなっています。2026年の全国調査でも、車両への取付けが適切だったのは77.6%、正しく座らせていたのは58.7%にとどまっています。
走行予定エリアを事前に確認し、安全運転の意識づけにご活用ください。取り締まりの回避を目的としたものではありません。
都道府県別の取り締まりデータ
道路交通法違反の検挙件数(人口千人当たり・2023年度)は都道府県で差があります。全国平均は 36.1件。
47都道府県のランキングを見る本記事は安全運転の注意喚起を目的とした一般的な情報提供です。取り締まりの回避を勧めるものではありません。最新かつ正確な情報は、警察庁・各都道府県警察などの公式情報をご確認ください。