海外旅行や出張で車を運転したいときのために、日本の公安委員会が交付するのが国外運転免許証です。国外運転免許証はだれが、どこで、何を出せば交付を受けられ、いつまで使えるのかを、道路交通法と同法施行令・施行規則の原文で確認します。
国外運転免許証を受けられる人
道路交通法107条の7第1項は、国外運転免許証を「条約附属書十に規定する自動車等に係る条約第二十四条第一項の運転免許証で公安委員会が発給するもの」と定めています。ここでいう条約は「道路交通に関する条約」(107条の2)です。
交付を受けられるのは、次の両方に当てはまる人です(107条の7第1項)。
- 免許を現に受けていること。ただし小型特殊免許・原付免許・仮免許は除かれます。
- 免許の効力が停止されていないこと(90条5項・103条1項・4項・103条の2第1項などによる停止中の人は除かれます)。
ポイント:国外運転免許証は、日本の免許を受けている人が、その免許で運転できる車について交付を受けるものです。原付免許・小型特殊免許だけの人や、免許の停止中の人は交付を受けられません。
国外運転免許証で運転できる車の区分
公安委員会は、国外運転免許証に運転できる自動車等の種類を指定して交付します(107条の7第3項)。指定は、国外運転免許証の A〜E の欄に公安委員会のスタンプを押して行います(施行規則37条の10)。どの欄に押すかは、日本で受けている免許の種類で決まります(施行規則37条の8)。
| 日本で受けている免許 | 国外運転免許証で運転できる欄 |
|---|---|
| 大型・中型・準中型・大型第二種・中型第二種免許のいずれか+牽引免許又は牽引第二種免許 | B・C・D・E |
| 大型・中型・準中型・大型第二種・中型第二種免許のいずれか | B・C・D |
| 普通免許又は普通第二種免許+牽引免許又は牽引第二種免許 | B・E |
| 普通免許又は普通第二種免許 | B |
| 大型二輪免許又は普通二輪免許 | A |
各欄がどの車に当たるかは、条約の附属書が定めています(107条の7第1項)。
申請先・必要なもの・手数料
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 申請先 | 住所地を管轄する公安委員会 | 道路交通法107条の7第2項 |
| 申請書 | 別記様式第二十二の八の交付申請書 | 同項・施行規則37条の9第1項 |
| 添える書面 | 外国に渡航するものであることを証する書面 | 道路交通法107条の7第2項 |
| 提示するもの | 現に受けている免許の免許証、又はその免許の情報を記録したマイナンバーカード | 施行規則37条の9第2項1号 |
| 添付する写真 | 申請前6月以内に撮影した無帽・正面・無背景の縦4.5センチメートル×横3.5センチメートルの写真(裏面に氏名と撮影年月日を記入) | 同項2号 |
| 手数料の標準額 | 2,350円(物件費等950円+人件費1,300円) | 道路交通法112条1項・施行令43条1項 |
手数料は、政令が示す額を標準として都道府県が条例で定めます(112条1項)。受付の窓口・曜日・交付までの日数は、住所地の都道府県警察の案内で確認してください。
有効期間と、日本の免許との関係
国外運転免許証の有効期間は、発給の日から起算して1年です(107条の8)。日本の免許の有効期間とは別に、発給の日から数えます。
ただし、国外運転免許証は日本の免許に結び付いています(107条の9)。
| 日本の免許に起きたこと | 国外運転免許証の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 失効した(更新を受けなかったなど)・取り消された | 効力を失う | 107条の9第1項 |
| 効力が停止された | 停止の期間、効力が停止される | 107条の9第2項 |
ポイント:発給から1年たっていなくても、日本の免許が失効・取消しになれば、国外運転免許証も効力を失います。渡航中に日本の免許の更新期間が来る人は注意が必要です。
返納・提出の義務
| 場面 | 義務 | 根拠 |
|---|---|---|
| 有効期間が満了した・失効した | 速やかに住所地の公安委員会に返納する。その時に外国にいる人は、帰国したときに返納する | 107条の10第1項 |
| 効力が停止された | 速やかに住所地の公安委員会に提出する。その時に外国にいて、停止の期間中に帰国した人は、帰国したときに提出する | 107条の10第2項 |
| 停止の期間が満了した | 提出した人が請求すれば、公安委員会は直ちに返還する | 107条の10第3項 |
返納・提出をしないと、2万円以下の罰金又は科料の対象になります(121条1項10号)。
よくある誤解
「国外運転免許証は、日本の免許とは別に1年間有効な免許」ではありません。 有効期間は発給の日から1年ですが(107条の8)、日本の免許が失効し、又は取り消されたときは、国外運転免許証もその時に効力を失います(107条の9第1項)。日本の免許が停止されれば、その期間は国外運転免許証の効力も停止されます(同条2項)。
「運転免許を持っていれば、どの免許でも国外運転免許証を受けられる」わけではありません。 小型特殊免許・原付免許・仮免許は、交付の対象から除かれています(107条の7第1項)。原付免許だけを受けている人は、国外運転免許証の交付を受けられません。
「1年たったら使い終わった国外運転免許証は手元に置いておいてよい」わけではありません。 有効期間が満了したときは、速やかに住所地の公安委員会に返納しなければなりません(107条の10第1項)。返納しないと、2万円以下の罰金又は科料の対象になります(121条1項10号)。
国外運転免許証の交付件数と関係する制度
- 交付件数: 警察庁の運転免許統計(令和7年版)によると、国外運転免許証の交付件数は令和7年中に299,900件で、申請者の国籍別では日本人272,763件・外国人27,137件です。令和元年の345,737件から令和2年は82,868件、令和3年は67,460件に減り、令和4年は170,136件、令和5年は262,268件、令和6年は292,704件でした。
- 不正な取得と貸し借り: 偽りその他不正の手段で国外運転免許証の交付を受けると3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金(117条の2の2第1項9号)、国外運転免許証を他人に譲り渡し、又は貸与すると5万円以下の罰金の対象になります(120条1項15号)。
- 外国の免許で日本を運転する場合: 外国で発給された国際運転免許証などで日本国内を運転するときの扱いは107条の2が定めています。この「国際運転免許証」からは、日本の公安委員会が発給する国外運転免許証が除かれています(107条の2の括弧書き)。外国の免許から日本の免許への切替えは外免切替の記事で扱っています。
- 免許証をなくしたとき・更新を忘れたとき: 免許証の再交付とうっかり失効の記事で扱っています。
道路交通法が定めているのは、日本の公安委員会が国外運転免許証を交付する手続きと、その効力・返納までです。渡航先の国で国外運転免許証が使えるかどうかや、渡航先の交通ルールは、出発前にその国の案内で確認してください。慣れない道路ではいつも以上に安全運転を心がけてください。
見かけた取り締まりを共有して、みんなの注意喚起に。
よくある質問
小型特殊免許・原付免許・仮免許を除く免許を現に受けている人が交付を受けられます(道路交通法107条の7第1項)。原付免許や小型特殊免許だけでは交付を受けられません。免許の効力が停止されている間も交付を受けられません。
住所地を管轄する公安委員会に、外国に渡航することを証する書面を添えて交付申請書を出します(道路交通法107条の7第2項)。あわせて、現に受けている免許の免許証(又は免許の情報を記録したマイナンバーカード)を提示し、申請前6月以内に撮影した縦4.5センチメートル・横3.5センチメートルの写真を付けます(施行規則37条の9第2項)。
手数料は都道府県の条例で決まります。政令が示す標準額は2,350円(物件費等950円+人件費1,300円)です(道路交通法112条1項・施行令43条1項)。実際の額は住所地の都道府県警察の案内で確認してください。
発給の日から起算して1年です(道路交通法107条の8)。ただし、その前に日本の免許が失効し、又は取り消されたときは、国外運転免許証もその時点で効力を失います(107条の9第1項)。
速やかに住所地を管轄する公安委員会に返納しなければなりません。有効期間が満了した時に外国にいる人は、帰国したときに返納します(道路交通法107条の10第1項)。返納しないと、2万円以下の罰金又は科料の対象になります(121条1項10号)。
走行予定エリアを事前に確認し、「気をつけよう」という意識づけにご活用ください。取り締まりを回避する目的のものではありません。
都道府県別の取り締まりデータ
道路交通法違反の検挙件数(人口千人当たり・2023年度)は都道府県で差があります。全国平均は 36.1件。
47都道府県のランキングを見る本記事は安全運転の注意喚起を目的とした一般的な情報提供です。取り締まりの回避を勧めるものではありません。最新かつ正確な情報は、警察庁・各都道府県警察などの公式情報をご確認ください。