運転免許証の有効期間が近づくと、更新の手続きが必要になります。更新できる期間には始まりと終わりがあり、終わりを過ぎると免許は効力を失います。更新期間の決まり方と、申請から新しい免許証を受け取るまでの流れを、道路交通法と同法施行令・施行規則、警察庁の通達の原文で確認します。
免許の更新期間は誕生日の前後1か月
更新期間は道路交通法101条1項が定めています。
- 始まり: 免許証の有効期間が満了する日の直前の、その人の誕生日の1か月前
- 終わり: 免許証の有効期間が満了する日
更新を受けようとする人は、この期間に、住所地を管轄する公安委員会に更新申請書を提出しなければなりません(101条1項)。誕生日が2月29日の人は、うるう年以外の年は2月28日が誕生日とみなされます(同条2項)。
有効期間の末日は、更新を受けたときの区分と年齢に応じて「○回目の誕生日から起算して1か月を経過する日」と定められています(95条の6第1項の表)。末日の直前の誕生日はその「○回目の誕生日」なので、更新期間はおおむね誕生日の1か月前から1か月後までになります。区分(優良運転者・一般運転者・違反運転者等)による有効期間の違いはゴールド免許の条件で解説しています。
ポイント:更新期間は「有効期間が満了する日の直前の誕生日の1か月前から、有効期間が満了する日まで」です。誕生日を過ぎても、有効期間の末日までは更新を受けられます。
この期間に更新を受けなかったときは、免許は効力を失います(105条)。失効した後の取り直しの仕組みはうっかり失効とはで解説しています。
更新の手続きの流れ
| 順番 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | 公安委員会が、更新期間などを書いた書面を送る | 道路交通法101条3項 |
| 2 | 住所地の公安委員会に更新申請書を出し、今の免許証(またはマイナンバーカードの免許情報記録)を示す。申請用写真を添える | 101条1項・施行規則29条2項・3項 |
| 3 | 病気の症状などについての質問票が交付されたら、記入して申請書と一緒に出す | 101条1項・4項 |
| 4 | 適性検査(視力・深視力・聴力・運動能力)を受ける | 101条5項・施行規則29条8項 |
| 5 | 更新時講習を受ける | 101条の3第1項・108条の2第1項11号 |
| 6 | 運転に支障がないと認められれば更新される | 101条6項 |
| 7 | 今の免許証と引換えに、更新された免許証が交付される | 101条の4の2第1項 |
いくつか補足します。
- 写真: 都道府県公安委員会規則で定める場合を除き、更新申請書に申請用写真を添付します(施行規則29条3項)。
- 質問票: 公安委員会は、一定の病気などに当たるかを判断するために質問票を交付できます(101条4項)。質問票に虚偽の記載をして提出すると、1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金の対象になります(117条の4第1項3号)。
- 適性検査: 免許を取るときの適性試験の基準(施行規則23条1項)が、色彩識別能力の部分を除いて準用されます(施行規則29条8項)。
- 講習: 更新を受けようとする人は更新時講習を受けなければならず(101条の3第1項)、受けていない人には更新をしないことができます(同条2項)。講習の時間は優良運転者30分・一般運転者1時間・違反運転者等2時間などと区分で変わります(施行規則38条11項。ゴールド免許の条件)。70歳以上の人は高齢者講習を、75歳以上の人は認知機能検査もあわせて受けます(101条の4。高齢者講習・認知機能検査・運転技能検査とは)。
警察庁の運転免許統計(令和7年版)によると、令和7年中の運転免許証の交付件数のうち、更新は17,083,003件でした(マイナンバーカードへの特定免許情報の記録件数を含む)。
更新の手数料の標準額
更新の手数料は、施行令43条1項が全国の標準額を定めています。表の額は、同項の表の「物件費及び施設費に対応する額」と「人件費に対応する額」の合計です。
| 更新するもの | 住所地の公安委員会で申請 | 住所地以外の公安委員会を経由して申請 |
|---|---|---|
| 免許証だけ | 2,850円 | 2,750円 |
| マイナンバーカードの免許情報記録だけ | 2,100円 | 1,000円(経由した公安委員会で書換えも受ける場合)/1,950円(受けない場合) |
| 免許証と免許情報記録の両方 | 2,950円 | 2,500円(経由した公安委員会で書換えも受ける場合)/2,850円(受けない場合) |
※ 更新時講習の手数料は別にかかります。実際の額は都道府県の条例で決まるので(道路交通法112条1項)、住所地の都道府県警察の案内で確認してください。
住所地以外の公安委員会を経由して申請できるのは、更新を受ける日に優良運転者か一般運転者に当たり、更新の案内の書面でその旨の通知を受けた人です(101条の2の2第1項)。経由する申請は、有効期間が満了する日の直前の誕生日までに行わなければなりません(同条2項)。
更新期間に行けないとき
海外旅行のほか、次のようなやむを得ない理由で更新期間内に適性検査を受けることが難しいと見込まれる人は、更新期間より前に免許証の更新を申請できます(101条の2第1項・施行令37条の5)。
- 病気やけがの療養
- 法令の規定による身体の拘束
- 社会の慣習上または業務の遂行上やむを得ない用務
- 積雪・高波などの自然現象による交通の困難
申請は住所地の公安委員会に特例更新申請書を出して行い、海外旅行やこれらの事実を証明できる書類を添えます(施行規則29条の2第2項)。適性検査を受け、運転に支障がないと認められれば、速やかに更新されます(101条の2第3項・4項)。更新時講習を受ける義務は、更新期間内の更新と同じです(101条の3第1項)。
この更新では、新しい有効期間を数える起点が、更新のための適性検査を受けた日になります(95条の6第1項の表の備考一ホ(3))。もとの免許証の有効期間の残りは引き継がれません。
古い免許証はどうなるか
免許証の有効期間の更新は、今持っている免許証と引換えに、更新された免許証を交付して行います(101条の4の2第1項)。
警察庁は2026年10月9日付けの通達「有効期間の更新時における旧免許証に関する事務処理上の当面の留意事項について」(丁運発第240号)で、引き換えた古い免許証の扱いを次のように示しました。
- 古い免許証は、さん孔処置(穴を開ける処置)をしたうえで申請者に返却することを原則とする
- 申請者が受け取らない場合など返却できないときは、申請者の目の前で細断するなどして、更新を行った当日中に処分する
通達は、神奈川県警察の警察署で、更新のときに回収した古い免許証が警察署の外に持ち出される事案があり、県警で詳細を調べていることを受けた当面の措置だと説明しています。古い免許証には個人情報が記載されているためです。
なお、更新のときにマイナンバーカードへの免許情報の記録を申請する人は、あわせて免許証の交付を希望しない旨を申し出ることができます(101条の4の2第2項)。この場合は、マイナンバーカードへの記録を受けたことで、更新された免許証の交付と返納が済んだものとみなされます。
よくある誤解
「早めに更新すると、その分だけ有効期間が短くなる」わけではありません。 更新期間内に更新した場合、新しい有効期間を数える起点は、更新前の免許証の有効期間が満了した日です(95条の6第1項の表の備考一ホ(1))。更新期間の初日に行っても末日に行っても、次の有効期間の末日は変わりません。起点が早まるのは、更新期間より前に更新した場合(同(3))です。
「誕生日を過ぎたら更新できない」わけではありません。 更新期間の終わりは誕生日ではなく、有効期間が満了する日です(101条1項)。ただし、住所地以外の公安委員会を経由して申請する場合は、有効期間が満了する日の直前の誕生日までに申請しなければなりません(101条の2の2第2項)。
「更新の案内の書面が届かなければ、更新期間は始まらない」わけではありません。 更新期間は101条1項で有効期間と誕生日から決まり、書面の送付(同条3項)は更新期間の要件になっていません。書面が見当たらないときも、免許証の有効期間の欄で末日を確かめてください。
更新に関係する手続き
- ゴールド免許と講習の区分: 更新のときの区分は、基準日前の5年間の違反行為の有無と回数で決まります。ゴールド免許の条件で解説しています。
- 70歳・75歳からの更新: 高齢者講習・認知機能検査・運転技能検査は高齢者講習・認知機能検査・運転技能検査とはで解説しています。
- 更新を忘れたとき: 失効した後の取り直しの条件はうっかり失効とはで解説しています。
免許の更新は、自分の運転を見直す機会でもあります。更新期間を早めに確かめて余裕を持って手続きを済ませ、日ごろから安全運転を心がけてください。
見かけた取り締まりを共有して、みんなの注意喚起に。
よくある質問
免許証の有効期間が満了する日の直前の誕生日の1か月前から、有効期間が満了する日までです(道路交通法101条1項)。有効期間の末日は誕生日から起算して1か月を経過する日と定められているので(95条の6第1項の表)、おおむね誕生日の前後1か月になります。誕生日が2月29日の人は、うるう年以外の年は2月28日を誕生日とみなします(101条2項)。
海外旅行や、病気・けがの療養、法令による身体の拘束、社会の慣習上や業務の遂行上やむを得ない用務、積雪・高波などの自然現象による交通の困難のために、更新期間内に適性検査を受けることが難しいと見込まれる人は、更新期間より前に更新を申請できます(道路交通法101条の2第1項・施行令37条の5)。申請のときには、その事実を証明できる書類を特例更新申請書に添えます(施行規則29条の2第2項)。
新しい有効期間は、更新前の免許証の有効期間が満了する日ではなく、更新期間より前の更新のために適性検査を受けた日を起点に数えます(道路交通法95条の6第1項の表の備考一ホ(3))。そのため、もとの有効期間の残りの分だけ、次の有効期間の末日は早くなります。更新期間内に更新した場合は、起点は更新前の免許証の有効期間が満了した日なので(同(1))、早めに行っても有効期間は短くなりません。
道路交通法施行令43条1項が全国の標準額を定めています。住所地で免許証だけを更新する場合は2,850円、マイナンバーカードの免許情報記録だけを更新する場合は2,100円、両方を同時に更新する場合は2,950円です。このほかに更新時講習の手数料がかかります。実際の額は都道府県の条例で決まるので、住所地の都道府県警察の案内で確認してください。
更新は、今持っている免許証と引換えに新しい免許証を交付して行います(道路交通法101条の4の2第1項)。警察庁の2026年10月9日付けの通達(丁運発第240号)は、引き換えた古い免許証を、穴を開ける処置(さん孔処置)をしたうえで申請者に返すことを原則としています。申請者が受け取らない場合などは、申請者の目の前で細断するなどして、更新の当日中に処分するとしています。
走行予定エリアを事前に確認し、「気をつけよう」という意識づけにご活用ください。取り締まりを回避する目的のものではありません。
都道府県別の取り締まりデータ
道路交通法違反の検挙件数(人口千人当たり・2023年度)は都道府県で差があります。全国平均は 36.1件。
47都道府県のランキングを見る本記事は安全運転の注意喚起を目的とした一般的な情報提供です。取り締まりの回避を勧めるものではありません。最新かつ正確な情報は、警察庁・各都道府県警察などの公式情報をご確認ください。