仮免許は、道路交通法が定める3つの免許の区分(第一種免許・第二種免許・仮免許)の1つです(84条2項)。本免許を受ける前に、道路で運転の練習をするための免許ですが、一人では練習できません。路上練習で隣に乗れる人の条件を最初に確認し、続けて路上練習で守ること、本免許の試験との関係、守らなかったときの扱いを、道路交通法と同法施行令・施行規則の原文で確認します。
路上練習で隣に乗れる人(同乗者の条件)
仮免許で練習のために運転するときは、運転者席の横の乗車装置に次のいずれかの人を同乗させ、その指導の下に運転しなければなりません(道路交通法87条2項後段・施行令32条の6)。
| 隣に乗れる人 | 条件 |
|---|---|
| 第一種免許を受けている人 | 練習する車を運転できる免許を、通算して3年以上受けていること(免許の効力が停止されていた期間は数えない)。停止中の人は除く |
| 第二種免許を受けている人 | 練習する車を運転できる第二種免許を受けていること。停止中の人と21歳未満の人は除く |
| 教習指導員 | 教習指導員の業務として技能教習に従事している場合に限る。運転免許の効力が停止されている人は除く |
「練習する車を運転できる免許」であることが条件なので、たとえば準中型自動車で練習するなら、準中型自動車を運転できる免許を3年以上受けている人が隣に乗ることになります。
親や友人でも隣に乗れる?
条文が定めているのは免許の種類と受けていた期間で、親子などの続柄は条件になっていません。親、きょうだい、友人でも、上の表の条件を満たしていれば隣に乗れます。
数えるのは免許を受けていた期間で、実際に運転していた期間ではありません。「通算して」なので、途中で免許を受けていない時期があっても、受けていた期間を足して3年以上あれば条件を満たします。ただし、隣に乗るだけでなく、その人の指導の下に運転することまでが条件です(道路交通法87条2項後段)。
路上練習で守ること
仮免許で練習のために運転するときは、次の条件を守らなければなりません。
| 条件 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 隣に乗せる人 | 運転者席の横の乗車装置に、上の「隣に乗れる人」のいずれかの人を同乗させ、その指導の下に運転する | 道路交通法87条2項後段 |
| 標識 | 車の前面と後面に、内閣府令で定める様式(施行規則 別記様式第十一)の標識を付ける | 87条3項・施行規則16条 |
| 標識の位置 | 地上0.4メートル以上1.2メートル以下の位置に、前方又は後方から見やすいように表示する | 施行規則15条の3 |
| 免許証 | 運転するときは、仮免許の免許証を携帯する | 道路交通法95条1項 |
| 旅客の運送 | 旅客自動車運送事業の旅客を運送する目的で旅客自動車を運転することはできない | 道路交通法87条4項 |
標識は、地を白色、文字を黒色とし、金属や木など使用に十分耐える材料で作ります。「仮免許」の文字は縦横それぞれ4センチメートル以上、「練習中」の文字は縦8センチメートル以上・横7センチメートル以上です(警視庁の案内)。
練習する道路にも制限があります。埼玉県警察は、高速道路・自動車専用道路と交通の頻繁な道路では練習を行うことができないと案内しています。
本免許の試験の前に要る5日以上の路上練習
大型・中型・準中型・普通の免許と、大型・中型・普通の第二種免許の運転免許試験を受ける人は、受ける免許に応じた仮免許を受けていて、かつ、過去3か月以内に5日以上、道路で運転の練習をしていなければなりません(道路交通法96条の2)。
指定自動車教習所の卒業証明書を持っていて、技能検定を受けた日から1年を経過していない人などは、この定めの対象から除かれます。第二種免許の試験では、技能試験に使う車を運転できる第一種免許を受けている人なども除かれます(施行令34条の2)。
数えられる練習の内容は、施行規則21条の17が定めています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 道路 | 高速自動車国道と自動車専用道路以外の道路。交通の著しい混雑などで練習を行うことが適当でないと認められる場合の、その道路も除く |
| 車 | 受ける免許に応じた車(普通免許・普通第二種免許なら普通自動車、準中型免許なら準中型自動車など) |
| 練習する内容 | 運転姿勢、ハンドル・ブレーキなどの操作、信号・標識に従うこと、歩行者の保護、通行区分、速度と車間距離、合図、交差点の通行方法など |
練習した結果は「路上練習申告書」に記載します(警視庁・埼玉県警察の案内)。警視庁は、運転免許試験場で直接試験を受ける人に向けて、申告書の様式と記載例を公開しています。手続きは、受験する運転免許試験場の案内で確かめてください。
仮免許で運転できるのは「練習」と「試験」のときだけ
道路交通法87条1項は、本免許を受けないで大型自動車・中型自動車・準中型自動車・普通自動車を運転できる場面を、次の2つに限っています。
- 練習のために運転するとき
- 技能についての運転免許試験、又は指定自動車教習所の技能検定で運転するとき
このとき運転しようとする車に応じた仮免許を受けなければなりません。仮免許は大型仮免許・中型仮免許・準中型仮免許・普通仮免許の4種類で(84条5項)、上の種類の仮免許では下の種類の車も運転できます(87条2項前段)。
| 仮免許の種類 | 練習・試験で運転できる車 |
|---|---|
| 大型仮免許 | 大型自動車・中型自動車・準中型自動車・普通自動車 |
| 中型仮免許 | 中型自動車・準中型自動車・普通自動車 |
| 準中型仮免許 | 準中型自動車・普通自動車 |
| 普通仮免許 | 普通自動車 |
埼玉県警察は、仮免許で練習以外の目的で運転すると無免許運転になると案内しています。
ポイント:仮免許は「練習と試験のための免許」です。練習のときは、資格のある人を隣に乗せ、車の前後に標識を付けるという条件が付きます。
仮免許を受けられる年齢と有効期間
仮免許は、次の年齢に満たない人には与えられません(88条2項)。この年齢に満たない人は、仮免許の運転免許試験も受けられません(96条7項)。
| 仮免許の種類 | 受けられる年齢 |
|---|---|
| 大型仮免許 | 21歳(政令で定める者は19歳) |
| 中型仮免許 | 20歳(政令で定める者は19歳) |
| 準中型仮免許・普通仮免許 | 17歳6か月 |
普通仮免許・準中型仮免許の年齢は、2026年4月1日から18歳から17歳6か月に引き下げられました。本免許(普通免許・準中型免許)を受けられるのは18歳からのままです(88条1項1号)。経緯は仮免許の年齢引き下げの記事で扱っています。
仮免許の有効期間は、仮免許の適性試験を受けた日から起算して6か月です(87条6項)。その間に、その仮免許で運転できる車を運転できる本免許を受けると、仮免許はその時点で効力を失います(同項ただし書)。
条件を守らなかったとき
| 違反 | 内容 | 違反点数 | 罰則・反則金 |
|---|---|---|---|
| 仮免許運転違反 | 資格のある人を隣に乗せず、又はその指導の下でなく練習のために運転した(87条2項後段違反) | 12点 | 6月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金(118条1項6号)。反則行為ではない |
| 仮免許練習標識表示義務違反 | 練習のときに前後に標識を付けなかった(87条3項違反) | 1点 | 5万円以下の罰金(120条1項14号)。反則行為で、反則金は大型車7,000円・普通車6,000円 |
違反点数は施行令 別表第二、反則金は施行令 別表第六によります。反則金で手続きが終わる「反則行為」は、道路交通法の別表第二に掲げる罪に当たる行為に限られます(125条1項)。標識の違反(120条1項14号)はこの表に入っていますが、仮免許運転違反(118条1項6号)は入っていません。仮免許運転違反は反則金の対象にならず、刑事手続で扱われる違反です。反則行為とそれ以外の違いは青切符・赤切符の違いの記事で扱っています。
仮免許の取消し
仮免許を受けた人が一定の事由に当たると、住所地の公安委員会は、政令で定める基準に従って仮免許を取り消すことができます(106条の2第1項)。基準は施行令39条の3第1項が定めていて、違反に関係するものは次のとおりです。
| 取消しの基準 | 根拠 |
|---|---|
| 違反行為をし、よって交通事故を起こして人を死亡させ、若しくは傷つけ、又は建造物を損壊したとき | 施行令39条の3第1項2号 |
| 救護義務違反、酒酔い運転・酒気帯び運転、麻薬等運転・過労運転、妨害運転、共同危険行為、ながら運転で交通の危険を生じさせた行為をしたとき | 同項3号(法117条・117条の2第1項1号・3号・4号・117条の2の2第1項3号・7号・8号・117条の3・117条の4第1項2号) |
| 無免許運転・大型自動車等無資格運転(85条6項〜10項に係るもの)をしたとき | 同項3号(法117条の2の2第1項1号・118条1項5号) |
| 最高速度を30キロメートル毎時(高速自動車国道等では40キロメートル毎時)以上超える速度で運転したとき | 同項3号(法118条1項1号) |
| 仮免許運転違反をしたとき | 同項3号(法118条1項6号) |
| 積載物の重量制限の2倍以上を積んで大型自動車・中型自動車・準中型自動車・大型特殊自動車を運転したとき | 同項3号(法118条2項1号) |
| 無車検運行・無保険運行をしたとき | 同項3号(道路運送車両法58条1項・自動車損害賠償保障法5条) |
| 別表第四又は別表第五に掲げる行為をしたとき | 同項4号 |
このほか、一定の病気などに当たることとなったとき(同項1号)も基準に入っています。隣に資格のある人を乗せないで練習すると、それだけで取消しの基準に当たるということです。
警察庁の運転免許統計(令和7年版)によると、仮免許の取消処分件数は令和7年中に、大型0件・中型20件・準中型25件・普通154件でした。
よくある誤解
「仮免許を持っていれば、一人で運転して練習してよい」わけではありません。 練習のために運転するときは、資格のある人を隣に乗せ、その指導の下に運転しなければなりません(87条2項後段)。一人で運転すると仮免許運転違反で12点、6月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金の対象になり(施行令 別表第二・法118条1項6号)、仮免許の取消しの基準にも当たります(施行令39条の3第1項3号)。
「免許を持っている人なら、だれでも隣に乗れる」わけではありません。 第一種免許の人は、練習する車を運転できる免許を通算3年以上受けている必要があり、停止されていた期間は数えません。第二種免許の人も、21歳未満であれば隣に乗れません(87条2項後段)。免許を受けて間もない家族や友人では条件を満たさないことがあります。
「仮免許は本免許を受けるまで使える」わけではありません。 有効期間は、仮免許の適性試験を受けた日から6か月です(87条6項)。期間が過ぎた仮免許では練習できません。
関係する数字と制度
- 受験者数と合格者数: 運転免許統計(令和7年版)によると、令和7年中の仮免許の運転免許試験の受験者数は1,430,615人、合格者数は1,133,645人で、合格率は79.2%でした。
- 本免許を受けた後: 準中型免許・普通免許などを受けてから通算1年は初心運転者期間で、違反点数によっては再試験の対象になります。詳しくは初心運転者期間の記事で扱っています。
道路交通法が仮免許に条件を付けているのは、運転に慣れていない人が道路を走るからです。隣に乗る人も、練習する人と一緒に周囲の安全を確かめ、焦らせずに指導してください。仮免許の標識を付けた車を見かけたら、車間距離を十分にとって見守ってください。
見かけた取り締まりを共有して、みんなの注意喚起に。
よくある質問
できません。仮免許で練習のために運転するときは、その車を運転できる第一種免許を通算3年以上受けている人などを運転者席の横に乗せ、その指導の下に運転しなければなりません(道路交通法87条2項後段)。一人で運転すると「仮免許運転違反」で、違反点数は12点、罰則は6月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金です(施行令 別表第二・法118条1項6号)。
次のいずれかの人です。その車を運転できる第一種免許を受けていて、免許を受けていた期間が通算3年以上の人(停止されていた期間は数えず、停止中の人は除く)。その車を運転できる第二種免許を受けている人(停止中の人と21歳未満の人は除く)。指定自動車教習所などで技能教習に従事している教習指導員(道路交通法87条2項後段・施行令32条の6)。
できます。条文の条件は免許の種類と受けていた期間で、親子などの続柄は条件になっていません。親や友人でも、その車を運転できる第一種免許を通算3年以上受けている人(停止中の人は除く)か、その車を運転できる第二種免許を受けている人(停止中の人と21歳未満の人は除く)なら隣に乗れます。隣に乗るだけでなく、その人の指導の下に運転することが条件です(道路交通法87条2項後段)。
普通自動車で練習するときの説明として、道路交通法の定めのとおりです。普通自動車を運転できる第一種免許を通算3年以上受けている人か、普通自動車を運転できる第二種免許を受けている21歳以上の人などを運転者席の横に乗せ、その指導の下に運転します。どちらも、免許の効力が停止されている人は除かれます(道路交通法87条2項後段)。
普通免許などの運転免許試験を受けるには、過去3か月以内に5日以上の路上練習が要ります(道路交通法96条の2)。指定自動車教習所の卒業証明書を持っていて、技能検定を受けた日から1年を経過していない人などは対象から除かれます(施行令34条の2)。
仮免許の適性試験を受けた日から起算して6か月です(道路交通法87条6項)。その間に、その仮免許で運転できる車を運転できる本免許を受けると、仮免許はその時点で効力を失います。
練習のときに車の前面と後面に標識を付けないのは「仮免許練習標識表示義務違反」で、違反点数は1点、反則金は普通車6,000円・大型車7,000円です(施行令 別表第二・別表第六)。標識は地上0.4メートル以上1.2メートル以下の位置に、前方又は後方から見やすいように付けます(施行規則15条の3)。
普通仮免許と準中型仮免許は17歳6か月からです。大型仮免許は21歳、中型仮免許は20歳から(いずれも政令で定める者は19歳から)です(道路交通法88条2項)。
走行予定エリアを事前に確認し、「気をつけよう」という意識づけにご活用ください。取り締まりを回避する目的のものではありません。
都道府県別の取り締まりデータ
道路交通法違反の検挙件数(人口千人当たり・2023年度)は都道府県で差があります。全国平均は 36.1件。
47都道府県のランキングを見る本記事は安全運転の注意喚起を目的とした一般的な情報提供です。取り締まりの回避を勧めるものではありません。最新かつ正確な情報は、警察庁・各都道府県警察などの公式情報をご確認ください。