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適正な交通違反取締りの確保通達とは?虚偽切符事案と、示された4つの対策

交通反則切符が、実際とは異なる状況で作成されていた——そんな事案を受けて、警察庁は2026年2月20日に通達を出しました。何が起きて、どんな対策が示されたのか。通達の原文にあたって整理します。

取り締まりマップ編集部安全運転支援チーム
公開:2026.07.18更新:2026.09.028分で読めます
録画中のドライブレコーダーが取り締まりの様子を客観的に記録している様子を表した、マスコットのトラくんを添えたイラスト

交通反則切符は、警察官がその場で現認した違反にもとづいて作成されるものです。ところが、実際とは異なる状況で切符が作られていた事案が起きました。これを受けて警察庁は、2026年2月20日に「適正な交通違反取締りの確保のための取組の強化について」という通達を出しました。

ここでは、何が起きて、どんな対策が示されたのかを、通達の原文にあたって整理します。

何が起きたのか

通達は、事案の内容を次のように記しています。神奈川県警察第二交通機動隊に所属する警察官が、2つの不適正な行為を行ったとされています。

虚偽の交通反則切符

交通違反取締りについて、実際に現認した状況と異なる状況を記載した交通反則切符を作成し、行使した事案(虚偽有印公文書作成・同行使)。

虚偽の実況見分調書

現場に臨場していないにもかかわらず、あたかも実施したかのように装うなどして、実況見分調書を作成し、行使した事案(虚偽有印公文書作成・同行使)。

さらに通達は、この事案がどのように発覚したかについても踏み込んでいます。

組織による適切な業務管理や指導がなされることがないまま、不適正な取締り及び書類作成が長期間にわたり組織内で看過された後、国民からの相談を端緒として発覚したものである。

組織のなかで長期間にわたって見過ごされ、最終的に国民からの相談によって明るみに出た——警察庁自身がそう記しています。

ポイント:通達は、不適正な取締りが「長期間にわたり組織内で看過された」こと、そして「国民からの相談を端緒として発覚した」ことを明記しています。組織の内部管理が働かなかったことへの反省が、対策の出発点になっています。

示された4つの対策

通達は、同じような事案の発生を防ぐため、各都道府県警察に4つの取り組みを指示しています。

交通違反取締り指導官の設置

警察本部の交通違反取締りを担当する課などに、取締りに関する指導を行う「交通違反取締り指導官」を指定し、その下に指導を行う係を設置することとされています。

相談窓口の設置

警察本部に、交通違反取締りに従事する警察官などを対象とする「交通違反取締りの在り方に関する相談窓口」を設置することとされています。取締りにあたる警察官自身が相談できる窓口です。

ドライブレコーダー等の活用

取締りの状況を記録した車両のドライブレコーダーの映像などは、個々の違反の立証や取締方針の策定に有用であることを踏まえ、積極的な活用に努めることとされています。

参事官等による総括的指導

適正な交通違反取締りは適正な交通警察活動の実現において重要な課題であることを踏まえ、警察本部交通部の参事官などによる総括的な指導のもとで、これらの取り組みを実施することとされています。

このうち、ドライブレコーダーの活用は、取締りの適正性を客観的に裏づける手段として位置づけられている点が特徴的です。切符を作成した警察官の記憶や判断だけに頼らず、映像という客観的な記録で取締りの状況を残す、という発想です。

ウェアラブルカメラの試行

取締りの適正性を客観的に記録するという方向は、別の取り組みにも表れています。警察庁は、街頭で活動する警察官がウェアラブルカメラを装着する試行(モデル事業)を実施しました。交通取締りの分野については、2025年7月24日付けの警察庁通達「交通指導取締りにおけるウェアラブルカメラの活用に関するモデル事業の実施について」が、別添の実施要領で運用のしかたを定めています。

ポイント:交通取締りの分野のモデル事業は、愛知・新潟・高知の3県警察で、2025年9月から2026年3月までの6か月間にわたって行われました。配備予定として示されていた台数は3県で計18式です。目的の一つは「適正な交通指導取締りの確保」です。

このモデル事業の目的として、警察庁は、交通指導取締りにおける警察官の職務執行状況の事後的な確認、適正な交通指導取締りの確保、道路交通法違反などの行為があった場合の証拠の保全、を挙げています。取締りの様子を映像で記録することは、違反の立証だけでなく、取締りが適正に行われたことを裏づける役割も持つ、ということです。

撮影のしかたは実施要領で定められています

実施要領は、撮影の方法と映像の扱いを次のように定めています。

撮影中であることを外から分かるように

カメラは胸部に装着し、撮影中であることを示す前面の点滅ランプが隠れないようにしたうえで、本体に「点滅時撮影中」などと記載したテープを貼り付けるなどして、撮影中であることが外形的に分かるようにすることとされています。

取締りの開始時に録画し、終了時に止める

公道上の交通指導取締りの状況を、開始時に録画を始め、終了時に止めることとされています。ただし、交通切符などの書類を作成する場合と、撮影を続けることで職務の遂行に支障が生じると認めた場合には、撮影を中断することとされています。

映像の保存は3か月

カメラ内の映像は帰署後に指定された端末などへ移し、カメラ内からは消去することとされています。移した先での保存期間は、移した日から起算して3か月です。映像を使える目的も、上記の3つに限定されています。

違反者などに視聴させる手続がある

取締りを受けた違反者などに対し、運用管理者が必要と認めるときは、第三者の容ぼうが記録されている場面などに必要な加工をしたうえで、警察施設内で視聴用の端末により映像を視聴させることができるとされています。

切符を作成している間は撮影を中断する、という定めがある点は押さえておくとよいところです。記録されるのは取締りのやりとりであって、手続のすべてが映像に残るわけではありません。

試行の結果はどうだったか

警察庁は2026年8月、この試行の結果を公表しました。映像の主な活用事例として挙げられた4例のうち、交通に関するものは「交通取締り活動が記録された映像を幹部が定期的に視聴し、取締りの適正性を確認」した例です。取締りが適正に行われているかを組織として確かめる手段として、実際に使われたということになります。

反響としては、モデル事業を実施した都府県警察から「職務執行状況の客観的な確認が可能になった」「映像は実践的な教養資料としての活用価値が高い」といった意見や、さらなる軽量化の要望があったとされています。街頭では「警察官もカメラを付ける方がよい」と声を掛けられたり、交通取締りを受けた人から「見るだけでなく、映像が残るのはよい」との意見が寄せられたりした一方、けんかの取扱いの際に「なぜ撮っているのか」、職務質問中に「録音するなら話さない」などと言われることもあった、とも記されています。

ポイント:試行結果の資料は、「警察活動におけるウェアラブルカメラ活用の有用性が認められたため、実装に向け、予算の確保、運用ルールの整備等の取組を推進する」と結ばれています。試行の段階から、実装に向けた段階へ進むという位置づけです。

なお、「AIカメラによる自動的な交通取締り」が話題になることがありますが、これは日本では行われていません。実際に動いているのは、警察官が装着するウェアラブルカメラです。両者は目的も仕組みも異なります。

※ この節の内容は、警察庁の広報資料「警察活動におけるウェアラブルカメラ活用の試行について」(2025年7月24日)と「警察活動におけるウェアラブルカメラ活用の試行結果について」(2026年8月)、および通達「交通指導取締りにおけるウェアラブルカメラの活用に関するモデル事業の実施について」(2025年7月24日・警察庁丁交指発第136号ほか)の別添「交通指導取締りにおけるウェアラブルカメラの活用に関するモデル事業実施要領」によります。

ドライバーにとっての意味

この通達が示しているのは、取締りの適正性が制度として問われている、ということです。取締りにあたる警察官のための相談窓口が設けられ、映像による客観的な記録が求められる——それは、取締りが正しく行われることを組織として担保しようとする動きです。

ドライバーの側にできることも、この流れとつながっています。自分の車にドライブレコーダーを備えておくことは、事故やトラブルの際に事実を残す助けになります。取締りをめぐって疑問を感じた場合にも、客観的な記録は双方にとって判断のよりどころになります。もっとも、いちばん確かなのは、記録に頼る場面をつくらないこと——つまり、日ごろから交通ルールを守って運転することです。

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よくある質問

通達によれば、神奈川県警察第二交通機動隊所属の警察官が、交通違反取締りについて、実際に現認した状況と異なる状況を記載した交通反則切符を作成・行使した事案(虚偽有印公文書作成・同行使)と、現場に臨場していないのに実施したかのように装って実況見分調書を作成・行使した事案が発生したとされています。

通達は「組織による適切な業務管理や指導がなされることがないまま、不適正な取締り及び書類作成が長期間にわたり組織内で看過された後、国民からの相談を端緒として発覚した」と記しています。組織内で見過ごされ、外部からの相談で明るみに出たとされています。

通達は、取締りの状況を記録した車両のドライブレコーダーの映像などが、個々の違反の立証や取締方針の策定に有用であることを踏まえ、積極的な活用に努めることとしています。取締りの適正性を客観的に裏づけるための手段として位置づけられています。

有効期間は令和13年(2031年)3月31日までとされています。数年にわたって効力を持つ通達です。

ウェアラブルカメラを使った交通取締りは、愛知・新潟・高知の3県警察で2025年9月から2026年3月まで行われたモデル事業で、全国で実施されているものではありません。モデル事業の実施要領では、カメラは胸部に装着し、撮影中であることを示す前面の点滅ランプが隠れないようにしたうえで、本体に「点滅時撮影中」などと記載したテープを貼り付けるなどして、撮影中であることが外形的に分かるようにすることとされていました。

モデル事業の実施要領では、取締りを受けた違反者などに対し、運用管理者が必要と認めるときは、第三者の容ぼうが記録されている場面などに必要な加工をしたうえで、警察施設内で視聴用の端末により映像を視聴させることができるとされていました。求めれば必ず見られるという仕組みではありません。

走行予定エリアを事前に確認し、注意したい地点を「気をつけよう」という意識づけにご活用ください。取り締まりの回避を目的としたものではありません。

本記事は安全運転の注意喚起を目的とした一般的な情報提供です。取り締まりの回避を勧めるものではありません。最新かつ正確な情報は、警察庁・各都道府県警察などの公式情報をご確認ください。