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可搬式オービスの200式整備計画とは?通学路の朝夕運用から逆算された台数

可搬式オービスの整備目標「200式」には、はっきりした根拠があります。全国のゾーン30を通学路の朝夕に取り締まる——その前提から逆算された数です。警察庁の公開資料にある算式から、この装置が何を狙っているのかを読み解きます。

取り締まりマップ編集部安全運転支援チーム
公開:2026.07.186分で読めます
三脚に載った小型の可搬式速度違反自動取締装置が通学路の路肩に置かれている様子を描いた、マスコットのトラくんを添えたイラスト

速度違反の自動取締装置というと、幹線道路や高速道路に設置された大型の固定式(オービス)を思い浮かべるかもしれません。しかし警察庁がいま整備を進めているのは、持ち運びができる「可搬式」です。その整備目標である「200式」という数には、通学路の安全を狙った明確な根拠があります。

ここでは、警察庁の公開資料にある算式から、この装置が何を目指しているのかを整理します。取り締まりを避けるための情報ではなく、公表されている整備計画の解説です。

可搬式オービスとは

可搬式速度違反自動取締装置は、小型で持ち運びができる速度取締りの装置です。従来の固定式や、パトカーによる取締りとの違いは、設置場所の自由度にあります。

停止スペースが要らない

車両の停止・待機スペースの確保が困難な通学路・生活道路でも設置できます。パトカーで速度を測り停止させる方式では取締りが難しかった、狭い道での運用が可能になります。

少ない人手で運用できる

警察庁は、少ない警察力でより効果が上がる手法として、可搬式装置の運用を挙げています。取締り場所の確保が困難な生活道路や、警察官の配置が難しい時間帯でも取締りが行えるようにする狙いです。

警察官の受傷リスクが低い

自動取締装置による方式は、取締り時に警察官が受傷する事故の可能性が低いという特徴も、資料に挙げられています。

「200式」は通学路の朝夕から逆算された数

整備目標の200式という数字には、警察庁の行政事業レビュー資料に算式が示されています。

可搬式オービスの整備目標200式が「全国のゾーン30約4,000か所×毎月2回÷開校日20日÷朝夕2か所」という算式から逆算されていることを示した図
図:可搬式オービス200式の算出根拠

全国のゾーン30の整備数約4,000箇所で毎月2回、朝夕で取締りを実施する場合、全体で200式(4,000か所×毎月2回÷開校日20日÷朝夕2か所)の可搬式速度違反自動取締装置が必要

この式を分解すると、この装置が何を前提に設計されているかが見えてきます。

要素意味
約4,000か所全国のゾーン30(生活道路の速度規制区域)の整備数
毎月2回1か所あたりの取り締まり頻度
開校日20日分母が「開校日」=通学路であることを示す
朝夕2か所登下校の時間帯に、1式で2か所を回す想定

※ 警察庁「交通取締り資機材等の整備について」(行政事業レビュー資料)の算式によります。詳細は必ず公式情報をご確認ください。

分母に「開校日」が入っていることが示すように、この200式は通学路の登下校時間帯の運用を前提に逆算された数です。子どもが通う道で、朝夕に速度を抑える——それがこの装置の狙いだということが、算式そのものから読み取れます。

ポイント:200式は「取り締まりを増やすための数」ではなく、「全国のゾーン30を通学路の朝夕に回るには何台要るか」から逆算された数です。狙いは通学路の速度抑制です。

導入のきっかけも資料に明記されています。2021年6月に千葉県八街市で、下校中の小学生の列にトラックが衝突して5人が死傷した交通事故です。この装置が通学路を軸に整備されているのは、こうした事故を防ぐためです。

配備台数を計画値と取り違えない

ここで注意したいのが、配備数の読み方です。整備計画には年度ごとの累計目標が示されていますが、このうち実績として公表されているのは令和5年度末(2024年3月末)の149式までです。

年度累計区分
令和5年度末149式公表されている実績(最新)
令和6年度162式整備計画の数値
令和7年度175式整備計画の数値
令和8年度188式整備計画の数値
令和9年度200式整備計画の数値(完了目標)

※ 149式は令和5年度末時点の公表実績です。162式以降は整備計画の数値で、実際の配備数ではありません。2025年・2026年の実配備数は公表されておらず確認できません。詳細は必ず公式情報をご確認ください。

162式・175式・188式・200式は、あくまで整備計画の目標値です。「すでに175台ある」といった書き方を見かけることがありますが、それは計画値を実績と取り違えたものです。2025年・2026年に実際に何台配備されているかは公表されておらず、確認できません。

ポイント:公表されている実績は令和5年度末の149式まで。それ以降の数字は計画値で、実配備数ではありません。

固定式から可搬式へ、高速道路から生活道路へ

可搬式の整備が進む背景には、速度取締りの重心の移動があります。速度違反による死亡事故は、かつては幹線道路や高速道路が中心に意識されてきましたが、通学路・生活道路での歩行者の被害という課題が前面に出てきました。

耐用年数13年を踏まえ、平成27年度の導入開始から13年後の令和9年度(2027年度)までに必要数の完了を目指す、というのが警察庁の計画です。第12次交通安全基本計画も、可搬式速度違反自動取締装置の全国的な整備拡充を明記しています。

停止スペースの要らない可搬式が生活道路に入っていくことは、これまで速度取締りの届きにくかった場所に取締りが及ぶことを意味します。裏を返せば、住宅街の細い道でも「ここは測られているかもしれない」と考えて速度を落とす理由が増えた、ということでもあります。もっとも、装置があるかどうかにかかわらず、子どもの通る道で速度を落とすことは、それ自体が最も確かな備えです。

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よくある質問

小型で持ち運びができる速度違反自動取締装置です。停止・待機スペースの確保が難しい通学路・生活道路でも設置できることが特徴で、従来の大型の固定式装置とは異なります。警察庁は少ない警察力でより効果が上がる手法として整備を進めています。

警察庁の行政事業レビュー資料に算式が示されています。全国のゾーン30の整備数約4,000箇所で毎月2回、朝夕で取り締まりを実施する場合、全体で200式(4,000か所×毎月2回÷開校日20日÷朝夕2か所)が必要、というものです。通学路の朝夕運用を前提に逆算された数です。

公表されている最新の実績値は、令和5年度末(2024年3月末)時点の149式です。162式・175式・188式・200式は令和6年度以降の整備計画の数値で、実際の配備数ではありません。2025年・2026年の実配備数は公表されておらず、確認できません。

警察庁は、可搬式装置の耐用年数が13年であることを踏まえ、平成27年度の導入開始から13年後の令和9年度(2027年度)までに必要数の完了を目指すとしています。

走行予定エリアを事前に確認し、速度が出やすい地点を「気をつけよう」という意識づけにご活用ください。取り締まりの回避を目的としたものではありません。

本記事は安全運転の注意喚起を目的とした一般的な情報提供です。取り締まりの回避を勧めるものではありません。最新かつ正確な情報は、警察庁・各都道府県警察などの公式情報をご確認ください。